2014年9月アーカイブ

アブフラクションとインプラント

Tooth wearの中で歯頸部に病変を生じるものが、Non-caries cervical lesions(NCCL)で、咬合力が原因と考えられていたものがアブフラクションである。
Madaniらは、被験者77名の1997歯を対象に早期接触とNCCLの関係を研究し、中心位および作業側における早期接触とNCCLの発生頻度には、強い相関関係があると述べている。
Takeharaらは被験者159名(平均年齢36.2歳)を対象に、NCCLと咬合力、咬合接触面積、ブラッシング圧との関係を研究し、CCLと年齢、咬合接触面積、ブラッシング圧には関連が認められたと報告している。
Brandiniらは、被験者としてNCCL46名、コントロール65名を対象に、NCCLと年齢(P=0.08)、歯肉退縮(P<0.01)、咬合性外傷(P<0.01)、Tooth wear(P<0.01)、group function(P<0.01)に有意差あり、NCCLと咬合関係に強い相関関係があると述べている。
(参考文献)
Madani AO, Abmadian-Yazdi A. An investigation into the relationship between noncarious cervical lesions and premature contacts. Cranio. 2005; 23(1): 10-15.
Takehara J, Takano T, Akhter R, Morita M. Correlations of noncarious cervical lesions and occlusal factors determined by using pressure-detecting sheet. J Dent. 2008; 36(10)774-779.
Brandini DA, Trevisan CL, Panzarini SR, Pedrini D. Clinical evaluation of the association between noncarious cervical lesions and occlusion forces. J Prosthet Dent. 2012; 108(5): 298-303.
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アブフラクションが原因して、歯牙を失った部位に、インプラント治療をする場合があります。
周囲の条件は変えず、歯牙を失った部位にだけ着目していると、インプラントの長期安定にはなりません。
インプラントに、アブフラクション様の咬合力がかからないように、咬合再構成をする必要性があるのです。

2014年9月30日

hori (14:38)

カテゴリ:インプラントについて

歯根破折の頻度が多い部位は、支台築造にこだわるべきである。

歯根破折が多い部位は、上顎小臼歯であり、次いで下顎大臼歯と報告されている。
咬合との関連が深いといわれているアブフラクションは、歯根破折と同様、上顎小臼歯が好発部位といわれている。
(参考文献)
Cohen S, Berman LH, Blanco L, Bakland L, Kin JS. A demographic analysis of vertical root fractures. J Endod. 2006; 1160-1163.
Mayhew RB, Jessee SA, Martin RE. Association of occlusion, periodontal, and dietary factors with the presence of non-carious cervical dental lesions. Am J Dent. 1998; 11(1): 29-32.
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歯根破折が多い部位は、上顎小臼歯と下顎大臼歯という研究報告です。
ということは、抜歯になり、インプラント治療が必要となるケースも同部位では少なくないということになります。
そのため、その部位には特に支台築造にはこだわる必要性があると考えています。
他の研究報告で、ファイバーポストの予後不良は、1.5-11.4%、金属ポストで7.6-20%というデータがあります。
このデータを基にし、いずれかを選択するならば、ファイバーポストの方が良いということになります。
ただ、残存歯質が特に少ないケースでは、必ずしもファイバーポストの有意性は乏しい場合もあるようです。
それを考えると、『材料の進化とともに、歯科学は存在しているんだ!』ということを今更ながらに思い知らされます。
すぐに新しい材料に飛びつくのも、リスクがありますが、常に新しい材料や機器に目を向ける必要はあるのだろうと考えています。

2014年9月25日

hori (16:25)

カテゴリ:インプラントについて

親不知抜歯とインプラント

2回法抜歯では、1回目の処置後の待機期間中に歯が移動し、智歯と下顎管との距離が生じることを期待する方法であり、歯が移動しなければ治療法の利点はない。
鹿児島大学口腔外科のデータでは、近心傾斜もしくは水平歯では約90%の歯は動くものと判断できている。
動かない歯の特徴としては、年齢(40歳以上)や1回目処置前に隣接する第二大臼歯と接していない歯、歯根の湾曲・肥大のある歯などである。
その際は歯冠除去術に準じ、歯質の削除量を多くし、歯の移動がなければ癒着歯と判断し歯根を留置するのも一つの方法であろう。
・最近では、歯冠部歯髄を積極的に削除している。
歯冠部歯髄を削除した症例で1回目処置後に歯髄炎等が生じた例はない。
( 口腔外科ハンドマニュアル 2014 )
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親不知(智歯)の埋伏、その前方の第二大臼歯の傾斜、第一大臼歯欠損。
というような歯列をお持ちの方もいます。
歯が無くてお困りの第一大臼歯に、1本のインプラント治療を行うという方法もありますが、やはり傾斜した第二大臼歯を整直させたうえで、欠損部位にインプラントを行う方が患者さんの価値観に合う場合もあります。
また、傾斜した第二大臼歯を整直させるのにも、その後方の親知らずが邪魔をしており、すぐには整直させることができない場合も少なくありません。
そのような場合、埋伏している親知らずを抜歯する必要が出てきますが、親知らずが下歯槽神経に近接している場合、第二大臼歯が整直する程度のスペースとなる親知らずの歯冠の一部を削除し、いわゆる2回法抜歯を行うこともあります。
当院では、歯列矯正を先に開始し、親不知抜歯に際して生じたスペースを無駄なく、その前方歯の移動に役立てています。
歯列矯正を治療計画に含める場合、欠損を有する歯列に歯列矯正を行うことになるので、通常の歯列矯正よりも難易度が上がります。
また、治療期間が比較的長期になります。
そうなると、患者さんの価値観によっては、親不知と第二大臼歯をともに抜歯し、第一大臼歯・第二大臼歯部位に2本のインプラント治療を行うというケースも出てくるわけです。
(整直させた第二大臼歯が、反対側の上顎歯とうまく咬まないという場合も少なくありません。)
患者さんの価値観に合わせた治療ができるように、医療従事者は"治療技術の引き出し"の数を増やす努力をしなくてはならないのです。

2014年9月20日

hori (08:33)

カテゴリ:インプラントについて

なぜ歯周病は重度化するか?

なぜ歯周病は重度化するか?
歯周病患者の20%は予後が悪く、またそもそも歯周病を治療せず放置すると8%の人々は急速に歯周病が進行し40代で無歯顎になったという驚くべき報告もある。
さらにスウェーデンでの疫学調査では、過去30年間の口腔衛生思想の普及と浸透により、歯肉炎の患者や軽度歯周炎の患者が大きく減った一方、中等度や重度歯周炎の患者の割合は変わらなかったという。
これらの報告から導けることは、重症化が運命づけられている歯周病患者がいるということである。
では、なぜそのような患者が存在するのだろうか?
近年の研究結果を簡潔に統合すると歯周病の進行は以下のようになる。
1)歯周ポケットの奥深くに存在しているP.g菌など嫌気性菌の産生する内毒素、リポポリサッカライド(LPS)に惹起され宿主の免疫応答が始まる。
2)免疫応答で好中球、マクロファージはこれらの細菌を貪食により排除しようとするが、その過程で炎症が生じ、これらの細胞からIL-1やTNF-αなどの炎症性サイトカインが放出される。
3)炎症性サイトカインは線維芽細胞やリンパ球に作用すると、これらから破骨細胞分化因子(RANKL)が放出される。
4)RANKLが破骨細胞のRANKという受容体に結合すると、破骨細胞の成熟化が進む。
このような連鎖により、進行した歯周病にみられる歯槽骨の吸収に至るのである。
この中で歯周病が重症化する患者というのは、LPSに対し炎症性サイトカインが過剰に放出される個体であり、近年"Periodontal Hyper Responder"とも呼ばれる。
(参考文献)
Hirschfeld, I., Wasserman, B.: A long-term survey of tooth loss in 600 treated periodontal patients. J. Periodontol., 49 : 225-237,1978.
Loe, H., Anerud, A.,Boysen, H., Morrison, E.: Natural history of periodontal disease in man. Rapid, moderate and no loss of attachment in Sri Lankan laborers 14 to 46 years of age. J.Clin. Periodontol., 13 : 431-440, 1986.
日本歯科医師会雑誌 2014 VOL.67 NO4
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歯周病が重症化しやすい患者さんは、さほどお口の清掃性が悪いわけではないのに、歯を失うスピードが早いという印象があります。
そのような患者さんであれば、同じようにインプラント治療を行っても、そうではない場合よりも、インプラントを失うリスクが高いです。
そのため、咬み合わせのバランス、プラークコントロール等を、より厳密にコントロールしていかなくてはなりません。
インプラント治療が一旦は終了しても、その後定期的なメンテンスが必要となるのはそのような理由からです。

2014年9月15日

hori (11:03)

カテゴリ:インプラントについて

歯周病で腸に異変?!

新潟大学大学院医歯薬学研究科の山口教授らの研究グループが、マウスを使った実験で、歯周病原因菌が腸内細菌叢に影響を及ぼし、全身的な炎症を引き起こすことを明らかにした。

腸内細菌叢の変化は、肥満・糖尿病でみられる所見と類似しており、歯周病が全身に及ぼす新たなメカニズムとして注目される。

山崎教授らは、歯周病原細菌の一つP.gingivalisをマウスの口腔から投与すると、腸内細菌叢が大きく変化し、全身的な炎症を引き起こすと確認。

腸内細菌と全く異なる病的口腔細菌が腸内細菌のバランスを崩し、腸の透過性を更新させることで、そこから入った内毒素が血流を介してさまざまな臓器・組織に軽微な炎症を持続させるという、歯周病と全身疾患を結びつける有力なメカニズムと考察している。

(アポロニア21 2014年 7月号 より)

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腸は免疫の6割を司ると聞きます。

また、歯周病菌が腸内フローラに悪影響を与えるということが分かりました。

これらから、歯周病で全身の免疫力が低下することを意味します。

また歯周病菌の中でも、P.gingivalisが悪影響を与えているとのことですが、この細菌はリウマチの発症にも関わっているそうなので、これからの研究の成果に期待したいですね。

2014年9月10日

hori (09:02)

カテゴリ:歯周病の悩み

B.forsythusが存在すると、歯周病の進行が7倍?!

・Machteiらは、B.forsythusが存在すると、歯周ポケットが進行する可能性が7倍になるとも報告している。
(参考文献)
Machtei EE, Dunford R, Hausmann E, Grossi SG, Powell J, Cummins D, Zambon JJ, Genco RJ. Longitudinal study of prognostic factors in established periodontitis. J Clin Periodontol 1997 ; 24(2) : 102-109.
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歯周ポケットが7倍進行するとは、歯周病が7倍進みやすいということになります。
どの細菌がどれくらい歯周病の状態、あるいはインプラント周囲炎に影響を与えているかという論文は、近年比較的多く出されているように感じます。
でも、まだこれについては結論が出ていないとも聞きます。
興味深い分野です。

2014年9月 5日

hori (14:52)

カテゴリ:歯周病の悩み

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