インプラント周囲炎の最近のブログ記事

ポビドンヨード併用の超音波スケーリングは有効。

・ポビドンヨード、クロルヘキシジン、エッセンシャルオイルの3種類の薬液を使って超音波スケーリングを行い、 術前・術後でどれくらい付着レベルの差が生じるかをみた。
その結果、ポビドンヨードを使用した場合にのみ有意差が見られた。
(参考文献)
Van der Sluijs M, et al. The effect on clinical parameters of periodontal inflamation following non-surgical periodontal therapy with ultrasonics and chemotherapeutic cooling solutions : a systematic review. J Clin Periodontal. 2016; 43(12) : 1074-1085.
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超音波スケーリングに薬液を併用しても、有意差が認められるほどの効果はなかったという論文を以前目にしたことがあったのですが、今回の報告では、ポビドンヨードを併用した場合に有意差が認められるほどの効果がみられたようです。

2018年5月25日

hori (14:00)

カテゴリ:インプラント周囲炎

イカ墨で歯周組織検査?!

イカ墨と水、トウモロコシのデンプンからできたマウスリンスを用いて、プローブを使わない歯周組織検査が可能になる。
アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校のJosse Joerst教授らによる研究グループが開発し、『The Journal of Dental Reaearch』9月7日号に掲載した。
イカ墨に光を吸収するナノ粒子が含まれているのを利用した技術で、イカ墨を含んだマウスリンスで口をゆすぐとナノ粒子が歯周ポケット内に閉じ込められ、そこにレーザー光を当てるとナノ粒子が発熱膨張し、ポケット内に超音波で測定可能な圧力差が生まれるため、定量的に歯周ポケットを測定できるという。
光音響超音波画像技術により、全周的な歯周組織のデジタルデータを得られるのが特徴。
動物実験ではプローブを使った場合とほぼ一致する結果を得たとのことで、今後、臨床試験が行われる予定。
検査数値を一瞬でデータとして得られるのが特徴で、プロービングに比べて術者による差が出ず、痛みや不快感を伴わないことなどもメリットとされる。
(アポロニア21 2017年12月号 )
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将来的に、イカ墨で歯周組織検査が可能となる可能性があるようです。
今後臨床試験が行われるそうで、従来の歯周組織検査と比較して、術者による差が出ず、痛みや不快感を伴わないなどメリットがあるようです。
インプラントの際のプロービングも同様に可能となるのでしょうか。
インプラントの場合、プロービング自体の是非はありますが、インプラント周囲組織の状態をプロービングをせずに評価することができるのであれば、天然歯以上にその利用価値は高いといえることでしょう。

2018年1月 1日

hori (16:55)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲炎と歯周炎の両疾患で共通した細菌種はわずか3種。

・Shibliらは44名の被験者(健常インプラント群22名、インプラント周囲炎群22名)の歯肉縁上と歯肉縁下プラーク細菌叢を比較したところ、歯肉縁上と歯肉縁下プラークでともに、Red complexに属する3菌種が有意に高い割合でインプラント周囲炎群から多く検出されたことを報告している。
また、Maximoらは、インプラント周囲炎の治療として外科的処置(オープンフラップデブライドメント)を行い、その治療前後における細菌叢の変化を調べている。
その結果、インプラント周囲炎罹患部のプラークには、Red complexが高い割合で検出されること、また治療後は総菌量の減少、またその量に対して、Red complexの割合が減ることが示された。
歯周病により抜歯され、無歯顎となった患者の唾液や舌表面からも歯周病原細菌が検出されることを考えると、細菌学的見地から歯周炎の既往はインプラント周囲疾患のリスクとなるといえる。
ただし、細菌に対するインプラントと天然歯の反応が同じとは言い難い部分がある。
・Leonhardtらは細菌培養法を用いた検査において、インプラント周囲炎部位の55%の部位からS.sppやC.spp.、腸内細菌など、通常、天然歯周囲では検出されず、一般に歯周病との関連が報告されていない細菌が検出されたことを報告している。
さらに、Perssonらはcheckerboard DNA-DNA hybridization法により79菌種を対象としてインプラント周囲炎部位における細菌叢を検索した結果、Red complexのひとつであるT.forsythia等が検出された一方で、歯周病の原因菌とはなじみのない、本来は主に胃に棲息するH.pylori なども検出されたこと、また非外科治療6か月後もこれらの細菌の減少は認められなかったことを報告している。
インプラント周囲炎において、既知の歯周病原細菌以外の微生物種が関与している可能性も考えられ、両疾患における原因細菌種についてはまだ統一した見解が得られていない。
Dr和泉雄一ら も16S rDNA クローンライブラリー法を用いて、20名の被験者を対象とした精密な細菌叢解析を行った。
その結果、Red complexはインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患部位から検出されるものの、3菌種をすべて足したとしても細菌叢全体の10%程度の存在量でしかないことが明らかとなった。
また既知の歯周病原細菌に注目した場合、両群ともに検出量が多い菌はF.nucleatumであるという共通点がある一方で、インプラント周囲炎ではPrevotella nigrescensが歯周炎と比較し有意に多く検出されたという相違点が認められた。
これらはインプラント周囲炎の細菌叢を網羅的に解析したことではじめてわかったことである。
一連のDr和泉雄一らの研究から分かったことは、以下のとおりである。
1. インプラント周囲炎と歯周炎では、類似した機能を細菌叢が保有しているため、両疾患では類似した臨床症状を呈する。
しかしながら、病態を進行させる機能を多く担う細菌(interacting core taxa)に違いを認める。
2. interacting core taxaがインプラント周囲炎と周囲炎の原因菌であると推測され、それらの差異が、結果として両疾患の治療に対する反応の違いに影響すると考えられる。
・意外にもインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患で共通した細菌種はわずか3種であり、また、ともに既知の歯周病原細菌だけでなく、他の細菌種もその病原性に関与している可能性が示唆された。
(日本歯科医師会雑誌 2017年11月号 )
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インプラント周囲炎罹患部のプラークには、Red complexが高い割合で検出されること。
Red complexのひとつであるT.forsythia等が検出された一方で、歯周病の原因菌とはなじみのない、本来は主に胃に棲息するH.pylori なども検出されたこと。
意外にもインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患で共通した細菌種はわずか3種であったこと。
などが明らかになりました。
歯周病とインプラント周囲炎では、それらを引き起こす細菌の多くが異なるために、インプラント周囲炎への効果的な対策が遅れているといえるでしょう。
またインプラント周囲炎患部のプラークには、ピロリ菌が棲息していたことを考えると、インプラント周囲炎になっている人は、そうではない人よりも胃がんになりやすいのかもしれません。

2017年12月10日

hori (15:12)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲上皮細胞のターンオーバーは3倍も遅い。

・上皮の増殖能が高いということは、ターンオーバー時間が早いということを意味しますので、組織の防御にとっては有利であるといえます。
増殖率をPCNA(増殖細胞核抗原)の陽性率は約13%で、天然歯の付着上皮の約36%よりも低く、おおよそ1/3です。
これは「インプラント周囲上皮細胞のターンオーバーが3倍も遅いこと」を示しています。
ターンオーバーが遅いことは、インプラント周囲上皮の防御機能が天然歯の付着上皮よりも劣っていると考えられます。
ですから臨床的には、インプラント患者さんのプラークコントロールはより厳密に行う必要があるといえます。
(参考文献)
・下野正基 : 新編治癒の病理.医歯薬出版, 2011.
・下野正基:やさしい治癒のしくみとはたらき. 歯周組織編. 医歯薬出版, 1994, 62-78.
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インプラント周囲組織の方が、天然歯周囲組織よりも炎症の程度が大きくなりやすいといわれていますが、ターンオーバーという観点らもインプラント周囲上皮の防御機能が天然歯の付着上皮よりも劣っているといえるようです。

2017年11月 5日

hori (08:50)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲炎のリスクが高まるPPDの大きさとは?!

・Pjeturssonら(2012)は動的歯周治療終了時点でPPDが5ミリ以上の歯周ポケットが残存していることが、インプラント周囲炎発症とインプラント喪失においてリスクであると報告している。
またLeeら(2012)は、歯周炎の既往がある患者においてインプラント周囲炎発症の割合が高かったものの、メインテナンス時に6ミリ以上の歯周ポケットが存在しない患者たちのインプラント周囲炎発症率は歯周組織が健康な患者と同程度だったと報告している。
(参考文献)
Pjetursson E, et al. : Peri-implantitis susceptibility as it relates to periodontal therapy and supportive care. Clin Oral Implants Res : 888-894,2012.
Cho-Yan Lee, et al. : Residual periodontal pockets a risk indicator for peri-implantitis in patients treated for periodontitis. Clin Oral Implatns Res, 23(7) : 325-333, 2012.
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やはり歯周病で歯を失った方にインプラント治療を行う場合、残存している歯牙も歯周病に罹患している場合は少なくありません。
将来のインプラント周囲炎のリスクを減少させるために、歯周病治療でPPDを5-6ミリ未満にするのか、抜歯するのかについて、インプラント治療を行う歯科医師は考えなくてはなりません。
ただし、歯周病治療でPPDを5-6ミリ未満にするのは時間がかかるからといって、保存できる歯まで抜歯し、インプラント治療を行うことは、医療従事者として良くないと考えています。
その際たるものが、ALL on 4です。

2017年10月 5日

hori (16:14)

カテゴリ:インプラント周囲炎

TiUniteインプラントは、TiOblastインプラントのおよそ2倍のインプラント周囲炎の罹患率を記録。

・DERKSらは、スウェーデン人588名で2277本のインプラントのインプラントを9年間フォローアップし、インプラント周囲炎の罹患率を研究した。
BoP陽性あるいは排膿と0.5ミリ以上の骨吸収を軽度のインプラント周囲炎、そしてBoP陽性あるいは排膿と2ミリ以上の骨吸収を中等度・高度インプラント周囲炎と定義したところ、軽度のインプラント周囲炎が45%で、14.5%が中等度・硬度インプラント周囲炎であった。
Straumannインプラント(すべてSLAインプラント)が32.6%、Nobel Biocareインプラント(8.3%が TiUniteインプラント)が39.4%、Astra Techインプラント(96.6%がTiOblastインプラント)が18.4%であった。
(参考文献)
Nickening H. Wichmann M, Schlegal KA、et al. Radiographic evaluation of marginal bone levels adjacent to parallel-screw cylinder machined-neck implants and rough-surfaced microthreaded implants using digitized panoramic radiographs. Clin Oral Implants Res 2009 ; 20 : 550-554.
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いずれも大手のインプラントメーカーですが、各メーカーのインプラントの表面性状によって、かなり異なることが分かります。
表面性状がTiUniteのNobel Biocareインプラントは、表面性状がTiOblastのAstra Techインプラントのおよそ2倍のインプラント周囲炎の罹患率を記録しました。
表面性状がTiUniteのNobel BiocareインプラントはALL on 4で有名ですが、個人的には意図的に傾斜埋入を行っていることも、インプラント周囲炎の罹患率が高い原因となっているのではなかろうかと考えています。
どのメーカーも自社製品を過大に宣伝する傾向にありますが、利益相反がない(と思われる)論文をベースにして、私たち歯科医療従事者は使用するインプラントも選択していかなくてはなりません。

2017年10月 1日

hori (00:43)

カテゴリ:インプラント周囲炎

薬剤耐性による死亡者数は、2050年までにがん死亡者数を超える?!

・薬剤耐性対策を行わなければ、薬剤耐性に起因する死亡者数は増大し、2050年までに全世界で1000万人の死亡が想定されている(2013年は70万人)。
これは、近年のがんによる死亡者数である820万人を超えるといわれている。
(参考文献)
厚生労働省健康局. 薬剤耐性(AMR)に関する背景. 国際社会の動向及び我が国における対応の現状について. 
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日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡するという時代に、何ともショッキングな厚労省の予測です。
私たち歯科医療従事者は、歯周病やインプラント周囲炎を、抗菌薬を使用せずに治すように努め、生死にかかわるような場面で効果的に抗菌薬を使用するべきであると考えています。

2017年9月15日

hori (09:08)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲炎の新治療薬 HYBENXとは?!

・バイオフィルム除菌アプローチによるインプラント周囲炎の非外科的治療:ケースレポートスタディ
本予備研究の目的は、バイオフィルム除菌アプローチがインプラント周囲炎の治療に与える影響を示すことにある。
インプラント周囲炎の臨床症例が、水酸化ベンゼンスルホン酸と水酸化メトキシベンゼンスルホン酸ならびに硫酸の高濃度水性混合液を含む口腔組織除菌材料により治療された。
この材料は非外科的に麻酔なしでインプラント周囲のポケット内部に投与された。
どの症例においても器具は使用せず、全身的にも局所的にも抗菌薬は使用しなかった。
材料が投与された時の痛み/不快感を記録するために全患者に対して質問票が使用された。
感染は患者が十分耐えられるもので、2-3秒で消失した。
バイオフィルム除菌アプローチは、インプラント周囲炎の治療に対して非常に見込みのあるテクニックである可能性が考えられた。
本材料の局所投与は、局所的または全身的な抗菌薬の投与を回避できる。
・スルホン酸/硫酸溶液(HYBENX, EPIEN Medical)は、スルホン酸/硫酸の高濃度混合液からなり、水への親和性がきわめて高いために接触性の乾燥材にみられる特徴を有している。
・このような急速な症状の緩和により、インプラント表面の乾燥を急速に起こすこのテクニックは、インプラント周囲炎の治療において特に有効かつ適応となると考えるに至った。
しかしながら、すべてを評価するためには、ランダム化比較対照試験をさらに行うに値すると思われる。
しかしながら、インプラント表面の細菌性バイオフィルムを除去する目的でこの材料を局所投与することにおけるもっとも重要な点は、全身的または局所的な抗菌薬の投与を行わないことである。
インプラント周囲炎の治療に抗菌薬の投与を使用しないことは、細菌性感染の治療にとって非常に大きな前進であるといえる。
局所的な抗菌薬の乱用は患者にとって生命の危機を与えかねない耐性菌の出現につながることはよく知られた事実である。
(参考文献)
Nonsurgical Treatment of Peri-omplantitis Using the Biofilm Decontamination Approach : A case Report Study. Giovanpaolo Pini-Prato, Cristina Magnani, Roberto Rotundo, J Periodontics Restorative Dent 2016;36:383-391. 11607/prd . 2653.
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これまでインプラント周囲炎の治療に抗菌薬の投与は不確実であるために、炎症部位を外科に除去する方法が良いとされてきました。
しかしながら、インプラント表面の除菌を行うフラップ手術と抗菌薬の全身投与では、症例のわずか58%に効果があるに過ぎないというデータもあるように、従来の方法も不確実であると言わざるを得ない状態でした。
そんな中、スルホン酸/硫酸溶液(HYBENX)という、水への親和性がきわめて高いために接触性の乾燥材にみられる特徴を有する薬液により、抗菌薬のように耐性菌の出現を心配することなく、インプラント周囲炎の治療を行うことが可能となりました。
ただ、まだエビデンス的には十分といえないとのことなので、スルホン酸/硫酸溶液(HYBENX)に関する今後の研究報告を待ちたいと考えています。

2017年9月10日

hori (09:17)

カテゴリ:インプラント周囲炎

GBR併用のインプラント手術は、インプラント周囲炎のリスクが高まる。

・GBRによる骨欠損回復の成否がインプラント周囲炎の発症に大きく関与する。
インプラント周囲粘膜炎(62.5%)、インプラント周囲炎(37.5%)
1ミリ以上(平均3.6±1.5ミリ)の骨欠損にGBRを適応→BOP検出率が有意に高い。
・特に狭小な骨に対する埋入の場合、頬側のスレッド露出が生じやすくGBRの適応となりやすいが、失敗した場合、歯周炎と異なり、近遠心の骨が保たれていることから歯肉退縮することはまれで、仮性ポケットとなり、上部構造装着直後からインプラント周囲炎のリスクを抱える結果となる。
(参考文献)
Schwarz, et al: Impact of the outcome of GBR in dehisience-type defects on the long-term stability of peri-implant health : clinical observations at 4 years. Clin Oral Impl Res, 23(2) : 191-196,2011.
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今回の報告により、GBR併用のインプラント手術は、インプラント周囲炎のリスクが高まることが明らかになりました。
これは、GBRが失敗していても、歯槽骨とインプラントは骨結合するので、機能的にはひとまず咬める状態になるということになるわけです。
しかしながら、上部構造装着直後からBOP検出率が有意に高いわけですから、1ミリ以上の骨欠損、すなわちほぼすべてのGBR併用のインプラント手術では、GBRが上手くいっていないケースが多いということになります。
そうなると、十分に歯槽骨の上端を平坦にしたうえで、インプラント埋入を行うべきであり、使用するインプラントも径の細いものが適応になる場合が多いということになります。

2017年9月 1日

hori (09:00)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント特有の病態

・インプラント周囲炎は歯周炎と異なり、
1. 頬側骨の吸収が顕著であること。
2. 骨代謝に影響を及ぼす全身疾患や服用薬の影響を受けること。
3. 術前の粘膜厚や骨量、セメント残留の影響を受けること。
4. 血清由来の縁下歯石の沈着が少ないこと。
5. 抜歯原因の影響を受けること。
6. アバットメントの材質や埋入深度の影響を受けること。
7. 接合様式や埋入術式、インプラント体の形状や性状等の影響を受けること。
8. 感染なき炎症(骨吸収像)が観察されること。
など、インプラント特有の病態も非常に多い。
(日本歯科評論 2017年8月号 )
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インプラントは、基本的には舌側あるいは口蓋側に埋入する場合が多いので、歯があった頃よりも頬側に歯ブラシが届きやすくなっているはずです。
しかしながら、どの部位の歯槽骨が吸収しやすいのかというと、歯ブラシが届きやすくなった頬側骨なのです。
また、歯石沈着が少なく、感染なき炎症が観察されるというのも、インプラント周囲炎の予防や対処が難しい理由といえるでしょう。

2017年8月25日

hori (09:42)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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