インプラント周囲炎の最近のブログ記事

インプラントのPPDは誤差が大きい場合がある。

・インプラント周囲炎患者を対象に、上部構造の形態がプロービング検査に与える影響を調べた研究では、上部構造除去前後のPPDが一致したのは37%のインプラントに留まり、2?以上の誤差を生じたインプラントが24%もあった。
(参考文献)
Serino G, Turri, Lang NP. Probing at implants with peri-implantitis and its relation to clinical periimplant bone loss. Clin Oral Implants Res. 2013; 24(1)91-95.
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一般的にインプラントの上部構造がオーバーカントゥアになると、PPDを正確に測定することは困難になります。
ならば、診査が精確に行えるようプロービングを挿入しやすい上部構造にすればよいように感じます。
ところが、インプラント埋入部位の頬舌的歯槽骨幅が狭く、近遠心的な歯槽骨幅が広いケースでは、鼓形空隙が広くなりすぎないようにしようとすると、オーバーカントゥアに傾向にあります。
このようなケースは特に若年者の下顎大臼歯部に多いように感じます。
かといって、同部位に2本埋入しようとすると、インプラント間距離が近くなりすぎてしまうという別な問題がでてきます。

2018年10月25日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラント周囲炎

無歯顎患者にインプラントをした場合、インプラント周囲炎にはならないのか?

・10年フォローアップ期間における無歯顎患者へのインプラント支持型下顎オーバーデンチャーのインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の発症率

目的:2編の前向き研究のサブ分析の目的は、無歯顎患者への10年間のフォローアップ期間におけるインプラント支持型下顎オーバーデンチャーのインプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の発症率について調べることである。

材料および方法:下顎オーバーデンチャーを支持する2本の骨内インプラントを有している150名の無歯顎患者が2編の前向き研究から抽出された。
臨床的およびX線学的パラメータについてオーバーデンチャー装着後、5および10年で評価された。
インプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の発症率はインプラント周囲炎に対するConsensus of Seventh Workshop on Periodontologyに基づいてインプラントおよび患者レベルで算出された。
結果:インプラント周囲粘膜炎の患者レベルの発症率は、5年後評価で51.9%、10年後評価で57.0%であった。
インプラント周囲炎の患者レベルの発症率は、5年後評価で16.9%、10年後評価で29.7%であった。
結論:インプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎は無歯顎患者にも発症し、その数は多かった。
(参考文献)
Incidence of peri-implant mucositis and peri-implantitis in edentulous patients with an implant-retained mandibular overdenture during a 10-year follow-up period. Meijer HJ, Raghoebar GM, de Waal YC, Vissink A. J Clin Periodontol 2014 ; 41(12) : 1178-1183.
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10年近く前になりますが、歯周病の歯をすべて抜歯するから、All-on-4はインプラント周囲炎にはならないと以前聞いたことがありました。
しかしながら、後になって、歯牙をすべて抜歯しても、インプラント周囲炎の原因細菌は口腔内に依然として存在するために、All-on-4であってもインプラント周囲炎になるリスクはあるようです。
そしてさらに、歯槽骨に斜めに埋入するAll-on-4は、通常の埋入の場合と比較した場合、清掃性が悪いと考えているので、当院ではAll-on-4は行っておりません。

2018年10月10日

hori (08:11)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント埋入直後の上顎洞炎

・CBCTを用いて、上顎臼歯の根尖と上顎洞までの距離を計測した研究では、第一小臼歯の頬側根は7.08ミリ、第二小臼歯の口蓋根は2.16ミリ、第一大臼歯の近心頬側根は2.71ミリであったのに対し、第二大臼歯の近心頬側根が最も近接しており、0.66ミリであったと報告されている。
(参考文献)
Lavasani SA, Tyler C, Roach SH, McClanahan SB, Bowles WR : Cone-beam computed tomography: anatomic analysis of maxillary posterior teeth-impact on endodontic microsurgery. J Endod, 42(6) : 890-895, 2016.
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インプラント埋入直後に上顎洞炎になる場合、インプラント埋入前から上顎洞炎であるケースが多いと聞きます。
また、その上顎洞炎は、隣在歯の根尖性歯周炎であることが多いとも聞きます。
インプラント治療が上手になるためにも、歯内療法についても長けていないとならないということになります。

2018年9月10日

hori (10:18)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラントが入っている患者さんへのフッ化物応用は?

・インプラントが入っている患者さんへのフッ化物応用は?
家庭で使うフッ化物配合歯磨剤に関しては、口腔内のチタンを腐食するエビデンスは存在しておらず、天然歯を有する人であれば利用した方がメリットが大きいことが学会からの見解として見出されており、詳細がレビュー論文にまとめられています。
その理由は表1のとおりで、フッ化物配合歯磨剤の理由を中止する利益はなく、中止による齲蝕リスクの増加が懸念されるとされています。
表1 インプラント治療患者へフッ化物配合歯磨剤への利用を勧めるべき理由
1. pH4.7以下の強い酸性の環境では、フッ化物配合歯磨剤によりチタンが侵襲されうるが、中性、アルカリ性または弱酸性のフッ化物配合歯磨剤を利用する場合、侵襲の可能性は極めて低い。
2. 歯磨剤を利用しないブラッシングでもチタン表面を侵襲されていた。
歯磨剤を利用するブラッシングでフッ化物の有無による侵襲の程度に差はない。
3. チタン表面の侵襲の有無で、細菌の付着に差はなかった。
フッ化物の利用により細菌の付着が抑制された報告も存在した。
4. 実際の口腔内では唾液の希釈作用でフッ化物濃度は低下するため侵襲の可能性は低い。
5. フッ化物配合歯磨剤の利用により細菌の酸産生能が抑制されるため、チタンが侵襲されるpHにはなりにくくなく。
6. 酸性の飲食物によるpHの低下は短時間で回復したことが分かった。
(参考文献)
フッ化物配合歯磨剤はチタン製インプラント利用者のインプラント周囲炎のリスクとなるか : 文献レビュー. 口腔衛生会誌 2016(3): 308-315. 相田潤.
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これまでインプラントに対するフッ化物の使用の是非については、明言を避けた報告が多かったと感じていました。
そんな中、今回の報告で、pHが4.7以下の強い酸性のものでなければ、口腔内にインプラントがあってもフッ化物配合歯磨剤を使用して問題ないことが分かりました。
因みに当院で使用しているフッ化ナトリウムはpH3.5ということで、浸漬3日でチタンインプラントは腐食するとのことでした。

2018年9月 1日

hori (08:45)

カテゴリ:インプラント周囲炎

ポビドンヨード併用の超音波スケーリングは有効。

・ポビドンヨード、クロルヘキシジン、エッセンシャルオイルの3種類の薬液を使って超音波スケーリングを行い、 術前・術後でどれくらい付着レベルの差が生じるかをみた。
その結果、ポビドンヨードを使用した場合にのみ有意差が見られた。
(参考文献)
Van der Sluijs M, et al. The effect on clinical parameters of periodontal inflamation following non-surgical periodontal therapy with ultrasonics and chemotherapeutic cooling solutions : a systematic review. J Clin Periodontal. 2016; 43(12) : 1074-1085.
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超音波スケーリングに薬液を併用しても、有意差が認められるほどの効果はなかったという論文を以前目にしたことがあったのですが、今回の報告では、ポビドンヨードを併用した場合に有意差が認められるほどの効果がみられたようです。

2018年5月25日

hori (14:00)

カテゴリ:インプラント周囲炎

イカ墨で歯周組織検査?!

イカ墨と水、トウモロコシのデンプンからできたマウスリンスを用いて、プローブを使わない歯周組織検査が可能になる。
アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校のJosse Joerst教授らによる研究グループが開発し、『The Journal of Dental Reaearch』9月7日号に掲載した。
イカ墨に光を吸収するナノ粒子が含まれているのを利用した技術で、イカ墨を含んだマウスリンスで口をゆすぐとナノ粒子が歯周ポケット内に閉じ込められ、そこにレーザー光を当てるとナノ粒子が発熱膨張し、ポケット内に超音波で測定可能な圧力差が生まれるため、定量的に歯周ポケットを測定できるという。
光音響超音波画像技術により、全周的な歯周組織のデジタルデータを得られるのが特徴。
動物実験ではプローブを使った場合とほぼ一致する結果を得たとのことで、今後、臨床試験が行われる予定。
検査数値を一瞬でデータとして得られるのが特徴で、プロービングに比べて術者による差が出ず、痛みや不快感を伴わないことなどもメリットとされる。
(アポロニア21 2017年12月号 )
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将来的に、イカ墨で歯周組織検査が可能となる可能性があるようです。
今後臨床試験が行われるそうで、従来の歯周組織検査と比較して、術者による差が出ず、痛みや不快感を伴わないなどメリットがあるようです。
インプラントの際のプロービングも同様に可能となるのでしょうか。
インプラントの場合、プロービング自体の是非はありますが、インプラント周囲組織の状態をプロービングをせずに評価することができるのであれば、天然歯以上にその利用価値は高いといえることでしょう。

2018年1月 1日

hori (16:55)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲炎と歯周炎の両疾患で共通した細菌種はわずか3種。

・Shibliらは44名の被験者(健常インプラント群22名、インプラント周囲炎群22名)の歯肉縁上と歯肉縁下プラーク細菌叢を比較したところ、歯肉縁上と歯肉縁下プラークでともに、Red complexに属する3菌種が有意に高い割合でインプラント周囲炎群から多く検出されたことを報告している。
また、Maximoらは、インプラント周囲炎の治療として外科的処置(オープンフラップデブライドメント)を行い、その治療前後における細菌叢の変化を調べている。
その結果、インプラント周囲炎罹患部のプラークには、Red complexが高い割合で検出されること、また治療後は総菌量の減少、またその量に対して、Red complexの割合が減ることが示された。
歯周病により抜歯され、無歯顎となった患者の唾液や舌表面からも歯周病原細菌が検出されることを考えると、細菌学的見地から歯周炎の既往はインプラント周囲疾患のリスクとなるといえる。
ただし、細菌に対するインプラントと天然歯の反応が同じとは言い難い部分がある。
・Leonhardtらは細菌培養法を用いた検査において、インプラント周囲炎部位の55%の部位からS.sppやC.spp.、腸内細菌など、通常、天然歯周囲では検出されず、一般に歯周病との関連が報告されていない細菌が検出されたことを報告している。
さらに、Perssonらはcheckerboard DNA-DNA hybridization法により79菌種を対象としてインプラント周囲炎部位における細菌叢を検索した結果、Red complexのひとつであるT.forsythia等が検出された一方で、歯周病の原因菌とはなじみのない、本来は主に胃に棲息するH.pylori なども検出されたこと、また非外科治療6か月後もこれらの細菌の減少は認められなかったことを報告している。
インプラント周囲炎において、既知の歯周病原細菌以外の微生物種が関与している可能性も考えられ、両疾患における原因細菌種についてはまだ統一した見解が得られていない。
Dr和泉雄一ら も16S rDNA クローンライブラリー法を用いて、20名の被験者を対象とした精密な細菌叢解析を行った。
その結果、Red complexはインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患部位から検出されるものの、3菌種をすべて足したとしても細菌叢全体の10%程度の存在量でしかないことが明らかとなった。
また既知の歯周病原細菌に注目した場合、両群ともに検出量が多い菌はF.nucleatumであるという共通点がある一方で、インプラント周囲炎ではPrevotella nigrescensが歯周炎と比較し有意に多く検出されたという相違点が認められた。
これらはインプラント周囲炎の細菌叢を網羅的に解析したことではじめてわかったことである。
一連のDr和泉雄一らの研究から分かったことは、以下のとおりである。
1. インプラント周囲炎と歯周炎では、類似した機能を細菌叢が保有しているため、両疾患では類似した臨床症状を呈する。
しかしながら、病態を進行させる機能を多く担う細菌(interacting core taxa)に違いを認める。
2. interacting core taxaがインプラント周囲炎と周囲炎の原因菌であると推測され、それらの差異が、結果として両疾患の治療に対する反応の違いに影響すると考えられる。
・意外にもインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患で共通した細菌種はわずか3種であり、また、ともに既知の歯周病原細菌だけでなく、他の細菌種もその病原性に関与している可能性が示唆された。
(日本歯科医師会雑誌 2017年11月号 )
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インプラント周囲炎罹患部のプラークには、Red complexが高い割合で検出されること。
Red complexのひとつであるT.forsythia等が検出された一方で、歯周病の原因菌とはなじみのない、本来は主に胃に棲息するH.pylori なども検出されたこと。
意外にもインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患で共通した細菌種はわずか3種であったこと。
などが明らかになりました。
歯周病とインプラント周囲炎では、それらを引き起こす細菌の多くが異なるために、インプラント周囲炎への効果的な対策が遅れているといえるでしょう。
またインプラント周囲炎患部のプラークには、ピロリ菌が棲息していたことを考えると、インプラント周囲炎になっている人は、そうではない人よりも胃がんになりやすいのかもしれません。

2017年12月10日

hori (15:12)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲上皮細胞のターンオーバーは3倍も遅い。

・上皮の増殖能が高いということは、ターンオーバー時間が早いということを意味しますので、組織の防御にとっては有利であるといえます。
増殖率をPCNA(増殖細胞核抗原)の陽性率は約13%で、天然歯の付着上皮の約36%よりも低く、おおよそ1/3です。
これは「インプラント周囲上皮細胞のターンオーバーが3倍も遅いこと」を示しています。
ターンオーバーが遅いことは、インプラント周囲上皮の防御機能が天然歯の付着上皮よりも劣っていると考えられます。
ですから臨床的には、インプラント患者さんのプラークコントロールはより厳密に行う必要があるといえます。
(参考文献)
・下野正基 : 新編治癒の病理.医歯薬出版, 2011.
・下野正基:やさしい治癒のしくみとはたらき. 歯周組織編. 医歯薬出版, 1994, 62-78.
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インプラント周囲組織の方が、天然歯周囲組織よりも炎症の程度が大きくなりやすいといわれていますが、ターンオーバーという観点らもインプラント周囲上皮の防御機能が天然歯の付着上皮よりも劣っているといえるようです。

2017年11月 5日

hori (08:50)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲炎のリスクが高まるPPDの大きさとは?!

・Pjeturssonら(2012)は動的歯周治療終了時点でPPDが5ミリ以上の歯周ポケットが残存していることが、インプラント周囲炎発症とインプラント喪失においてリスクであると報告している。
またLeeら(2012)は、歯周炎の既往がある患者においてインプラント周囲炎発症の割合が高かったものの、メインテナンス時に6ミリ以上の歯周ポケットが存在しない患者たちのインプラント周囲炎発症率は歯周組織が健康な患者と同程度だったと報告している。
(参考文献)
Pjetursson E, et al. : Peri-implantitis susceptibility as it relates to periodontal therapy and supportive care. Clin Oral Implants Res : 888-894,2012.
Cho-Yan Lee, et al. : Residual periodontal pockets a risk indicator for peri-implantitis in patients treated for periodontitis. Clin Oral Implatns Res, 23(7) : 325-333, 2012.
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やはり歯周病で歯を失った方にインプラント治療を行う場合、残存している歯牙も歯周病に罹患している場合は少なくありません。
将来のインプラント周囲炎のリスクを減少させるために、歯周病治療でPPDを5-6ミリ未満にするのか、抜歯するのかについて、インプラント治療を行う歯科医師は考えなくてはなりません。
ただし、歯周病治療でPPDを5-6ミリ未満にするのは時間がかかるからといって、保存できる歯まで抜歯し、インプラント治療を行うことは、医療従事者として良くないと考えています。
その際たるものが、ALL on 4です。

2017年10月 5日

hori (16:14)

カテゴリ:インプラント周囲炎

TiUniteインプラントは、TiOblastインプラントのおよそ2倍のインプラント周囲炎の罹患率を記録。

・DERKSらは、スウェーデン人588名で2277本のインプラントのインプラントを9年間フォローアップし、インプラント周囲炎の罹患率を研究した。
BoP陽性あるいは排膿と0.5ミリ以上の骨吸収を軽度のインプラント周囲炎、そしてBoP陽性あるいは排膿と2ミリ以上の骨吸収を中等度・高度インプラント周囲炎と定義したところ、軽度のインプラント周囲炎が45%で、14.5%が中等度・硬度インプラント周囲炎であった。
Straumannインプラント(すべてSLAインプラント)が32.6%、Nobel Biocareインプラント(8.3%が TiUniteインプラント)が39.4%、Astra Techインプラント(96.6%がTiOblastインプラント)が18.4%であった。
(参考文献)
Nickening H. Wichmann M, Schlegal KA、et al. Radiographic evaluation of marginal bone levels adjacent to parallel-screw cylinder machined-neck implants and rough-surfaced microthreaded implants using digitized panoramic radiographs. Clin Oral Implants Res 2009 ; 20 : 550-554.
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いずれも大手のインプラントメーカーですが、各メーカーのインプラントの表面性状によって、かなり異なることが分かります。
表面性状がTiUniteのNobel Biocareインプラントは、表面性状がTiOblastのAstra Techインプラントのおよそ2倍のインプラント周囲炎の罹患率を記録しました。
表面性状がTiUniteのNobel BiocareインプラントはALL on 4で有名ですが、個人的には意図的に傾斜埋入を行っていることも、インプラント周囲炎の罹患率が高い原因となっているのではなかろうかと考えています。
どのメーカーも自社製品を過大に宣伝する傾向にありますが、利益相反がない(と思われる)論文をベースにして、私たち歯科医療従事者は使用するインプラントも選択していかなくてはなりません。

2017年10月 1日

hori (00:43)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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