2014年2月アーカイブ

抗血栓薬服用患者におけるインプラント治療では、伝達麻酔はするべきではない。

・出血のコントロールが困難と予測されるが血栓症リスクが高く、抗凝固薬を中断できない場合は、ワルファリンより半減期の短いヘパリンに切り替えて手術を行う。
 
・現時点では抗血小板薬服用患者においては、ワルファリン療法時のPT-INRのような、モリタリングとして適切な検査がない。

抗血小板薬は抗凝固薬に比べて出血のリスクが少なく、薬効モリタリングの必要性が重要視されていない。
 
・抗血栓薬服用患者での伝達麻酔は、出血や血腫を形成する可能性が否定できない。

特に下顎孔伝達麻酔により血腫を形成し気道閉塞をきたす危険性があるので、原則的に伝達麻酔を施行するべきではない。
 
・ワルファリンは多くの薬剤と相互作用を有するので注意が必要である。

セフェム系やペニシリン系をはじめとして、多くの抗菌薬はPT-INR値を上昇させるとの報告がある。

抗菌薬の長期間の投与は腸内細菌叢の変化によりビタミンK産生不足をきたし、出血傾向が生じる可能性がある。

(日本歯科評論 2013年12月号)

2014年2月27日

hori (16:39)

カテゴリ:インプラントについて

エナメル突起と歯周病

阿部は、歯周病に罹患している患者の下顎大臼歯の約74%にエナメル突起が認められ、顎骨標本において、歯槽骨に吸収の認められる歯槽に埴立している下顎大臼歯の約90%にエネメル突起が認められ、またエナメル突起を有する上下顎大臼歯が埴立している顎骨標本と歯槽の約95%に歯槽骨の吸収が認められるとしている。

大臼歯のエナメル突起の存在と歯周病の発現には密接な関係があると述べている。

以上のことは、Grade3のような高度のエナメル突起が存在すれば、本来セメント質で覆われているべき根分岐部病変に上皮性付着が存在し、ひとたびプラークなどの起炎因子が根分岐部病変に波及すれば、早期に上皮細胞間結合が破壊され、ポケットの形成が生じることにより、根分岐部病変が形成されるものと考えられる。

このようなことから、根分岐部はプラークコントロールが難しく、長期にみれば2-3度の根分岐部病変は抜歯に繋がっていくことが多い。

・エナメル突起は圧倒的に頬側に多く発現し、上下顎の平均発現率は抜去歯で62.3%、頭蓋骨標本で71.0%となり、エナメル突起の発現率は欧米人と比較して、日本人、エスキモー人に高く、人種差があることが確認されたと述べている。

(長期症例から学ぼう 歯周治療の臨床ポイント より)

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歯周病とエナメル突起の存在には密接な関係があるため、歯周病に取り組んでいる歯科医師は、誰もが根分岐部病変の治療に苦慮しているといっても過言ではありません。

患者さんの歯を守るために、根分岐部病変に関するエビデンスを待ち望んでいます。

2014年2月18日

hori (15:16)

カテゴリ:インプラントについて

なぜ同じ被せにトラブルが続くのか

ブリッジで歯が連結されると、歯の固有の働きが阻害され、感覚受容器も鈍くくなるため、強い咬合力が加わっても回避する反射機能が低下する。

特に最後臼歯には複雑な咬合力が加わり、ダメージを受けやすい。

(どうする?歯根破折! より)




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クラックから虫歯が発生するということが知られて久しいですが、クラックが発生した歯に被せ物をした場合、その歯には歯根破折や被せ物の脱離が頻繁に起きる傾向があります。

脱離を繰り返した被せ物は、歯と被せ物との間が虫歯になり、抜歯に至ることが多いです。

そして、次のステージとして、その歯を抜歯してブリッジといいう治療を行うのが、一般的な保険診療の流れです。

(このブリッジという治療は、両脇の歯を土台にして、歯のないところを咬めるようにする治療です。)

しかし、今回紹介した本の中にもあるように、ブリッジで歯が連結されると、通常であれば咬みすぎると痛みを感じるために、ふぅっと力を抜く反射が欠落するので、結果的に咬みすぎてブリッジを破壊してしまうことになります。

ただ、保険診療で使用している金属は、歯よりも硬いので、ブリッジの下の骨が破壊されるか、歯根破折が生じる可能性が高まります。

そのような意味でも、クラック関連で歯を失った人こそ、インプラント治療を受けた方が良いということになります。

インプラントが周囲の歯の身代わりになってくれるからです。

2014年2月15日

hori (15:45)

カテゴリ:インプラントについて

上顎シングルデンチャーを安定させるために。

下顎前方歯が残っている場合の上顎シングルデンチャーを安定させるために。

1.インプラントによる大臼歯部補綴

2.下顎二重冠デンチャーによる対応

<二重冠デンチャーの治療目的>
1.シングルデンチャーになってもフラビーガムをつくらず、上顎義歯の強い吸着と安定を保つ。

2.残存歯根膜の感覚細胞を間接化することで前咬み傾向を除去し、後ろ咬みを達成する。
 
 
・二重冠デンチャーにすることによって、支台歯が外冠に覆われ、咬合刺激に対して歯根膜感覚が外冠を通した間接的な感覚になり、生体が前歯で咬みたいと欲する直接感覚を弱めることができる。

また、リジットサポート効果により残存支台歯が後方へ引き込まれ、臼歯咀嚼時にも前歯の歯根膜感覚が刺激されることによって、安定した後ろ咬みを獲得できる可能性が高まる。

クラスプデンチャーでは、遊離端欠損部で咬合しても残存前歯部の歯根膜は刺激されず、歯根膜感覚が鋭敏な前歯部の前咬みは治らない。

クラスプデンチャーの最大の欠点は、この前歯歯根膜の直接感覚を除去できないことにある。

(阿部次郎の総義歯難症例 誰もが知りたい臨床の真実 より)



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上顎総義歯、下顎は小臼歯よりも前に歯牙が存在しているようなケースに対して、一般的な保険義歯で対応した場合、顎堤吸収の程度あるいは、顎堤の上下的なバランスによっては、難症例となる場合は少なくありません。

そのような場合、上顎義歯が安定しない原因が、前咬み傾向にあるので、奥で咬めるようにインプラントを下顎臼歯に用意することが、もttも簡単な対処法といえます。


2014年2月10日

hori (07:12)

カテゴリ:インプラントについて

インプラント関連の上顎洞炎について

歯科インプラント治療に伴う上顎洞炎では、埋入したインプラント体の抜去が求められている。

しかし、インプラント体の抜去を行っても上顎洞炎が治癒するとは限らない。

Dr佐藤公則は、埋入したインプラント体の初期固定が良好であれば、保存的治療に抵抗する上顎洞炎に対して、内視鏡下副鼻腔手術を行い、インプラント体は抜去せずに保存している。

上顎洞の換気と排泄が十分保たれた上顎洞炎が改善すれば、インプラント治療が継続できる。

(日本歯科評論 2013年12月号)


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耳鼻科医でインプラント治療に精通している方はそう多くはないと聞きます。

インプラントが関連する上顎洞炎を耳鼻科に依頼すると、インプラントの抜去を求められるとも聞きます。

耳鼻科医あるいは口腔外科医は、患者さんのために、インプラントを抜去せずに、何とか上顎洞炎を治療をすることが求められるでしょう。


2014年2月 4日

hori (08:55)

カテゴリ:インプラントについて

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