インプラントオーバーデンチャーの最近のブログ記事

硬質レジン歯は着色しやすい。

・レジン歯は義歯床と同じように紐状の分子構造のアクリルレジンでできています。
透明度が高く、義歯床ともよく接着するが、「摩耗しやすい」という欠点があります。
それを改善するために、硬質レジン歯では網目構造のレジンを使い、さらに、フィラーを加えることで耐摩耗性を向上させました。
しかし、このフィラーは摩耗には強いものの、レジンとの境界部が着色しやすい欠点があるのです。
したがって、レジン歯に比べて硬質レジン歯の方が着色しやすいということになります。
(歯科衛生士 2018年2月号 )
*****
硬質レジン歯は、レジン歯の摩耗しやすいという欠点を改善するために開発されました。
当然のことながら、人工歯の耐摩耗性は向上しましたが、摩耗に対抗するために加えられたフィラーがレジンとの境界部を着色しやすいという別な欠点を有するようになりました。
歯科学は材料とともに進化していますが、材料も右肩上がりにすべての面で改善が見込めるわけではないのだなあと痛感しました。

2018年5月15日

hori (10:46)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

4-IODは顎堤の吸収を守る。

・4本のインプラントを埋入した4本支持で、床をつけて加圧すると、インプラントが7割、顎堤が3割の支持割合になります。
ところが、前方2本だけのインプラントだと、インプラントが3割、顎堤が7割になると口腔内の測定から分かりました。
つまり、台形状に4本のインプラントで支持することで、インプラントが咬合支持の7割を負担してくれるの顎堤を吸収から守るのです。
(デンタルダイヤモンド 2018年1月号 )
*****
海外での下顎無歯顎の治療方法は、2-IOD、すなわち2本のインプラントを支持するオーバーデンチャーが第一選択であると聞きます。
しかしながら、2-IODを長期間にわたり使用すると、臼歯部の顎堤に過大な力がかかり、歯槽骨の吸収を惹起するそうです。
すなわち、2-IOD治療後に長期間が経過すると、下顎に固定性のインプラントブリッジの適応が困難となる可能性があるということなります。
そのような意味では、インプラントの本数をもう2本だけ追加して、4-IODの方が顎堤吸収という側面からは妥当性があるかもしれません。

2018年2月20日

hori (08:45)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

2-IODのリスク

・CawoodとHowellの分類のクラス4から5(顎堤の高さが12-18ミリ)に相当する中等度の顎堤吸収を伴った60名の無歯顎患者に対してランダムに2本並びに4本のインプラント支台のIODを製作した。

顎堤吸収の比較には、Wrightと Wastsonの方法に準じて行い、埋入直後および10年経過時のパノラマX線写真にて分析を行った。

その結果、2本支台のIODの方(ベースラインと比較して10%減)が、4本支台(同6%減)と比較し、有意に臼歯部顎堤吸収が大きくなった。

(参考文献)

Posterior mandibular residual ridge resorption in patients with overdentures supported by two or four endosseous implants in a 10-year prospective comparative study.

*****

当然の結果かと思います。

上顎中心のインプラント治療で、下顎には2-IODという治療計画はよく目にします。

2-IODは、咀嚼時に下顎総義歯と比較して、水平方向には移動しなくなるので、咬みやすくなるものと考えられますが、2-IODは下顎前方の2本のインプラントが回転軸となり、臼歯部の骨吸収を総義歯の場合よりも促してしまうということなのでしょう。

2017年7月15日

hori (08:42)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

歯冠長が15ミリを超えるインプラントは、IARPDを選択するべきだという意見がある。

・垂直的な骨量が不足している場合も、歯冠長が15ミリを超えるとインプラント-歯冠比が悪くなるので、インプラントにアタッチメントを装着したIARPDが有効な手段となる。
(参考文献)
Shahmiri RA, Atieh MA : Mandibular Kennedy Class ? implant-tooth-borne removable partial denture : a systematic review. J Oral Rehabil. 37(3) : 225-234,2010.
*****
これまでインプラントでは、天然歯のような厳格に歯冠-歯根比というものはありませんでした。
近年、ショートインプラントが普及した結果、多くの研究が報告され、『歯冠長が15ミリを超えるインプラントは、IARPDを選択するべきだ。』という一つの基準がでたようです。
一方、上顎洞内には比較的容易に垂直的骨量を増大させることが可能で、上顎ではインプラント-歯冠比を改善することが容易です。
そのため、上顎では垂直的骨量が不足しているケースであっても、インプラントブリッジが可能であることが多いです。

2017年5月 5日

hori (12:13)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

直接支台歯とインプラントに加わる荷重の垂直・側方成分

・直接支台歯とインプラントに加わる荷重の垂直・側方成分
               直接支台歯に加わる荷重 インプラントに加わる荷重
               側方成分  垂直成分   側方成分  垂直成分 
従来のPD          6.6±0.3   11.1±0.1           
インプラントPD 近心Imp  1.6±0.1    1.3±0.1  14.3±1.2  44.0±0.3
         遠心Imp  6.4±0.1   23.1±0.7  5.4±0.2   51.7±0.4
遠心インプラント支台時に直接支台歯に加わる荷重は、従来の部分床義歯に比較して増加した。
この結果は、インプラントの設置は直接支台歯の負担を軽減するとされてきたこれまでの知見と相反するものである。
遠心インプラント支台の存在は、義歯床下粘膜荷重を軽減させることは明らかであるが、軽減された分の荷重はインプラントと支台歯にて負担することになる。
すなわち、粘膜が主体であった遊離端欠損部の過重負担様式から、ロングスパンの固定性ブリッジの支持様式に近似する様式に移行したものと考えられる。
この場合、支台歯の過重負担の増加は合理的ともいえる。
「遊離端欠損形態の中間欠損化(ケネディ分類?級化)」はインプラントパーシャルデンチャーの力学的利点とされているが、場合によっては直接支台歯への負担増加になりうるため、この点については十分な配慮が必要である。
さらに、インプラント支台による義歯床下粘膜荷重の減少効果は明らかにされたが、遠心インプラント支台時には少なからず粘膜下荷重が測定された(7.4N)。
これは義歯床部のたわみ、あるいは今回使用したボールアタッチメントの可動性が影響したと考えられた。
これから、インプラントパーシャルデンチャーにおいても、アタッチメントの選択とともに、機能時の義歯の動揺・歪みによる粘膜荷重を考慮した調整の必要性が示唆される。
(参考文献)
Matsudate Y, et al. Load distribution on abutment tooth, implant and residual ridge with distal-extension implant-supported removable partial denture. J Prosthodont Res. 2016 ; ahead of print.
*****
567の遊離端欠損義歯で、5部の義歯床下にインプラントを設置した場合と、7部の義歯床下にインプラントを設置した場合とで、その上に部分床義歯を装着し、咬合力を変えたときに、力の分布が両者で異なっていたという研究報告です。
興味深いのは、7部の義歯床下にインプラントを設置した場合に、直接支台歯の負担が増大する点です。
これまでインプラントは直接支台歯の負担を軽減するとされてきましたが、7部のインプラントオーバーデンチャーでは、ロングスパンの固定性ブリッジの支持様式に移行するとのことです。

2017年3月15日

hori (16:15)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

2-IODの維持力を大きくしても、満足度向上には繋がらない。

・下顎の2インプラントオーバーデンチャー(2-IOD)装着者における装着後の維持力の大きさが患者満足度とQOLに与える影響
目的:本研究の目的は、下顎の2インプラントオーバーデンチャー装着者において、装着後の維持力の大きさが満足度とQOLに与える影響を明らかにすることである。
材料と方法:大学附属病院において治療した無歯顎症例で、下顎には2本のインプラントに単独のアタッチメントを装着したインプラントオーバーデンチャー、上顎はコンプリートデンチャーにより治療したものを対象とした。
オーバーデンチャーの維持にはボールまたはロケーターアタッチメントを使用した。
すべての患者に対してトルコ版のOral Healh Impact-14(OHIP-14)とビジュアルアナログスケール(VAS)形式の満足度の調査を実施した。
オーバーデンチャーの装着後の維持力の測定には特製の動的試験装置を用いた。
結果:本研究では55名の患者を対象とした。
装着後の維持力とVAS値との間には有意な相関はなかった。(P>0.05)。
結論:本臨床的研究の制約の中で、装着後に大きな維持力を有するインプラントオーバーデンチャーはより良好なQOLを提供するが、満足度には影響を与えないことが推定された。
(参考文献)
The influence of momentaly retention forces on patient satisfaction and quality of life of two-implant-retained mandibular overdenture wearers. Geckili O, Cilinger A, Erdongan O, Kesoglu AC, Bilmenoglu C, Ozdiler A, Bihan H, Int J Oral Maxillfac 2015 ; 30(2) : 397-402.
*****
当院でも、ロケーターアタッチメントを使用した2-インプラントオーバーデンチャーを提供しています。
ロケーターアタッチメントのパッケージには、維持力の異なる複数のリプレースメントメールが一つになっています。
ブルーが680g、ピンクが1361g、クリアが2268gという具合です。
維持力がもっとも弱いブルーでもそれなりの維持力があるという印象があったので、ブルーを使用してきました。
そんな中、今回紹介した文献でも、ロケーターアタッチメントの維持力が高いからといって、満足度には影響が与えないことが分かりました。
咀嚼する度に沈下する粘膜と全く沈下しないインプラントが共存するためには、患者さんの満足度に影響を与えない範囲で、インプラントへかかる力が弱い方が安心だと考えています。

2015年11月15日

hori (16:19)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

オールオンフォーでも当然インプラント周囲炎のリスクはある。

・オランダにおいて無歯顎患者の下顎にインプラント支持のオーバーデンチャーが装着されている場合のインプラント周囲炎およびインプラント周囲粘膜炎の罹患率が分析された。
結果
患者単位でのインプラント周囲粘膜炎の罹患率は5年後では51.9%、10年後で57.0%であった。
また、インプラント周囲炎に関しては、5年後では16.9%、10年後で29.7%であった。
結論
完全無歯顎患者の場合でもインプラント周囲炎およびインプラント周囲粘膜炎は生じる可能性があり、更にその罹患率は高い。
考察
無歯顎の患者にインプラント治療を行った場合でも10年の間にインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎が高い頻度で起こりうるという結果は、天然歯の歯周治療を含めた患者の治療計画を立案する際に、重要な情報となろう。
すなわち、天然歯の影響がなくてもインプラント周囲炎が起こりうるので、天然歯を保存することがインプラントの予後に悪影響を与えるとは考えるべきではない。
(参考文献)
Meijer HJ, Raghoebar GM, de Waal YC, Vissink A. Incidence of peri-implant mucositis and peri-implantitis in edentulous patientients with an implant-retained mandibular overdenture during a 10-year follow up period. J Clin Periodontol 2014 ; 41 : 1178-1183.
*****
『無歯顎、すなわち歯が1本もない方に行ったインプラントは、インプラント周囲炎になるのだろうか?』という臨床的疑問を解決するために行われた研究報告です。
『歯周病の歯に歯周病菌が付着しているから、抜歯してインプラントをすれば、お口から歯周病菌がいなくなるので、安心である。』『歯周病菌がいなくなるので、インプラント周囲炎にもならない。』
とオールオンフォーを推奨する歯科医師から聞いたことがあり、その当時から個人的には疑問に感じていました。
今回の文献は、2-IODに関するデータですが、オールオンフォーでも同様の結果になることでしょう。
『歯科医師の仕事は歯を残すことである』という原点を私たちは忘れてはいけないのです。

2015年9月 1日

hori (09:38)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

ロケーターアタッチメントの機械的偶発症

・ロケーターアタッチメントの機械的偶発症
インプラント間角度が増加するほど、維持力の減衰は早期に発生することが分かる。
メーカー発表では交換頻度は3-4か月と謳われている。
1. インプラント間角度が0°
初回維持力81.75N
75%維持力低下 約6400回着脱
50%維持力低下 約1100回着脱
25%維持力低下 約500回着脱
2. インプラント間角度が10°
初回維持力が91.94N
75%維持力低下 約4800回着脱
50%維持力低下 約1100回着脱
25%維持力低下 約450回着脱
3. インプラント角度が20°
初回維持力が104.72N
75%維持力低下 約2900回着脱
50%維持力低下 約600回着脱
25%維持力低下 約200回着脱
4. インプラント角度が30°
初回維持力が84.86N
75%維持力低下 約3000回着脱
50%維持力低下 約800回着脱
25%維持力低下 約350回着脱
5. インプラント角度が40°
初回維持力が78.04N
75%維持力低下 約2100回着脱
50%維持力低下 約500回着脱
25%維持力低下 約150回着脱
(参考文献)
Al-Ghafli, SA., Michalakis, K.X., Hirayama, H., Kang, K. : The in vitro effect of different implant angulations and cyclic dislodgement on the retentive properties of an overdenture attachment system. J. Prosthet. Dent., Sep, 10 (3) : 140-147,2009.
*****
下顎無歯顎には、2本のインプラントのインプラントオーバーデンチャーが費用対効果が高いと言われております。
インプラント上部には様々な種類のアタッチメントがありますが、その中でも最近では、ロケーターアタッチメントが人気があります。
その人気の理由は、薄い製品であるために、結果的に義歯に十分な厚みが残されるので、再製作ではなく修理で対応が可能なケースが多いことによるものと考えられます。
ただこのロケーターアタッチメントは、毎日の着脱により次第に維持力が低下してきます。
具体的には今回紹介した文献にもあるように、2本のインプラント埋入角度が可能な限り平行である方が維持力が比較的安定する傾向にあるようです。
それでも、50%維持力が低下するのに約1100回程度ですから、食後3回・就寝前で一日4回着脱したとすれば275日。
すなわち義歯装着時より9か月もすると、義歯の維持力がだいぶ低下してきていると言わざるを得ません。
またインプラントの埋入角度が40°の場合であれば、50%維持力が低下するのに約500回程度ですから、メーカーがアタッチメント交換が3-4か月と謳っているのもこのような場合を想定しているものと考えられます。

2015年8月25日

hori (17:12)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

インプラント固定の部分入れ歯のトラブルが少なくない理由。

インプラント固定の部分入れ歯(IARPD)の義歯製作―印象採得

歯の被圧変位量に比べて粘膜の変位量は大きく、その反対にインプラントはほぼゼロに近い。
歯の垂直的沈下量を調査したKorber,KH.によると、20±10μm(0.01-0.03ミリ)である。
同様な調査は後藤によると、0.03-0.06ミリとある。
それらから歯の被圧変位量はおおむね0.03ミリ前後と推測できる。
一方、顎堤粘膜の被圧変位量はKorber, K.H.によると、0.5-1.5ミリ、宮下によると0.6-0.8ミリとある。
おおむね0.6ミリ前後とすると、歯の被圧変位量に比べて20倍の量である。
このように生理的動揺のある天然歯、ほぼ動きのないインプラント、被圧変位量の大きな粘膜、これら3者を同時印象で正確に採得することは難しい。
そのため印象採得における誤差を製作段階で補正を行いながら、詰めていくことが現実的である。
(インプラントパーシャルデンチャー IARPDの臨床 )
*****
印象採得の際には少なからず圧がかかるものと思われます。
その圧に対して、インプラントの20倍も偏位するのが顎堤粘膜です。
力がかかってもほぼ動かないインプラントとその20倍沈み込む顎堤粘膜が、義歯使用中には均等接触しなければなりません。
そのためには、印象採得時の誤差を製作段階で補正するのはもちろん、完成したインプラント固定の部分入れ歯が相当な誤差を有していることを認識して、義歯のチェックを定期的に行わなければならないということでしょう。

2015年6月30日

hori (15:42)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

上顎IODはインプラントの喪失率が高い。

・補綴装置の種類ごとのインプラント喪失の発生率
上下顎単独インプラント 3%
下顎無歯顎フィックスドブリッジ 3%
上顎無歯顎フィックスドブリッジ 10%
下顎部分欠損フィックスドブリッジ 6%
上顎部分欠損フィックスドブリッジ 6%
下顎IOD 4%
上顎IOD 19%
(参考文献)
Goodacre CJ, Barnal G, Rungcharassaeng K, Kan JY: Clinical complication with implants and implants protheses. J Prosthet Dent 90(2) : 121-132,2003.
*****
このデータから、いかに上顎IODは、他の設計よりもハイリスクか認識しなければならないでしょう。
やはり上顎にインプラントを考える場合は、固定式のブリッジタイプを基本とし、比較的条件の良い下顎やインプラントや天然歯に負けない構造を考えていく必要があると思います。
全顎的インプラント症例において、"壊れにくい"ことを第一に考えるのであれば、下顎にはIOD、上顎は固定性インプラントブリッジが第一選択かもしれません。

2015年6月20日

hori (15:23)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

このページの先頭へ