口腔内では善玉菌なのに、血液中に入り込むと、心不全を惹起するリスクがあるストレプトコッカス・サングイニスとは?!

・血液の連鎖球菌菌ストレプトコッカス・サングイニスは、口腔内では大腸菌や破傷風菌などが口腔内に定着しないように攻撃する善玉菌として働きます。
ところが、血液中に入り込むと、マクロファージなどの食細胞に抵抗して菌血症を起こします。
また、心臓弁膜症に傷がある場合、その部位に付着して細菌性心内膜炎を起こすことも少なくありません。
すなわち、ストレプトコッカス・サングイニスは、口腔内ではジキル博士のように善玉菌としてふるまいながら、血液中に入り込んで暗殺者ハイドに変身することがあります。
細菌性心内膜炎は、うっ血性心不全、塞栓症、脳卒中などを併発する命を奪う感染症です。
史上最大の暗殺軍団デンタルプラーク )
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ストレプトコッカス・サングイニスが口腔内では善玉菌であるのに、血液中に入り込むと菌血症、場合によっては細菌性心内膜炎を引き起こす暗殺者になるということが明らかになりました。
歯磨きで歯肉から血が出るというのは、中年以上の歯周病世代の方であれば、そう珍しい現象ではないかと思います。
しかし、歯肉から血が出るという時点で、そこには血流があるわけですから、そこにストレプトコッカス・サングイニスが血流内に入り込む余地があります。
歯肉からの出血から心不全になるリスクを減らすためにも歯周病の治療はしっかり行った方が良いということになります。

2016年7月 5日

hori (10:24)

カテゴリ:歯周病の悩み

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