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セメント質剥離は術前に確定診断できるものが約56%。

・セメント質剥離は術前に確定診断できるものが約56%、術後に診断されたのが約44% であったとの報告もある。
(参考文献)
Lin HJ, Chan CP, Yang CY, Wu CT, Tsai YL, Huang CC, Yang KD, Linn CC, Chang SH, Jeng JH : Cemental tear. Clinical characteristics and its predisposing factors. J Endod. 2011 ; 37(4) : 276-284.
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セメント質剥離は術前に確定診断できるものが約56%存在することが明らかになりました。

2024年4月15日

hori (08:58)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

喫煙が虫歯リスクを高める4つの理由

1. 煙草に含まれるニコチンの影響により、虫歯の病原菌であるS.mutansのバイオフィルムが厚くなる。in vivoの研究でニコチンはS.mutans およびS.sanguisを増加させたとする報告もある。
2. 唾液中の免疫物質であるsIgA(分泌型免疫グロブリンA)が減少する。
3. 喫煙をすると唾液pHが低くなる。非喫煙者のpHは7.00だったのに対して、喫煙者は6.75±0.11で有意に低かったとする報告がある。
4. ニコチンにより口腔乾燥が起こる可能性がある。
(参考文献)
Huang R, Li M, Gregory RL : Effect of nicotine on growth and metabolism of Streptococcus mutans. Eur J Oral Sci, 120 (4) : 319-325,2012.
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喫煙は歯周病リスクやインプラント周囲炎リスクだけでなく、虫歯リスクも高めることが明らかになりました。

2024年4月 5日

hori (08:04)

カテゴリ:インプラントと喫煙

インプラント埋入時における出血。

・重大な出血リスクとなる舌下動脈、オトガイ下動脈も存在する。
生命を脅かす口腔底への出血は術後数時間たってからでも起こりうるので、下顎前歯部において舌側の穿孔は決して起こしてはならない。
術前のCT画像で精査し、動脈の進入孔付近にインプラントを配置しないようにすることも肝要である。
(参考文献)
Budihardja AS, Pytlic C, Haarmann S, Holzle F. Hemorrhage in the floor of mouth after second-stage surgery: case report. Implant Dent. 2006 Jun ; 15(2)148-52.
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下顎前歯部および下顎小臼歯部の舌側の穿孔は、生命を脅かす出血に繋がる可能性があるので注意が必要です。

2024年4月 1日

hori (15:57)

カテゴリ:インプラントの偶発症

インプラント同士は必ずしも3ミリ以上離さなくても大丈夫。

・インプラント治療のスペースマネジメントとして、天然歯とは1.5ミリ、インプラント同士は3ミリ以上離すことが基本と考えられてきた。
インプラント間の骨頂の吸収量は、その距離が2ミリから4ミリ以上まで大きくなるにつれ減少する。
近年のシステマティックレビューでは、1-3ミリでは有意差がないが、5ミリになると吸収量は有意に減少することが報告されている。
(参考文献)
Al Amri MD. Influence of inter-implant distance on the crestal bone height around dental implants.: A systematic review and meta-analysis. J Prosthet Dent/ 2016 Mar ; 115(3) : 278-82.
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プラットフォームスイッチングやテーパージョイントのインプラントを応用することにインプラント間距離が短くなってもインプラント間の歯槽骨吸収量を抑制できることが関与している可能性があります。

2024年3月20日

hori (08:47)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント治療のトラブルは補綴学的合併症が大多数。

Pjeturssonらは、上部構造装着後5年以上経過したインプラント治療で合併症が認められない割合は66.4%のみであり、8.5%が生物学的合併症でそれ以外が補綴的合併症であると報告している。
インプラント治療が補綴治療である以上、咬合管理の重要性を改めて認識しなくてはならない。
(参考文献)
Pjetursson B. E., Tan K., Lang N. P., Bragger U., Egger M M., Zwahlen M. : A systematic review of the survival and complication rates of fixed partial dentures after an observation period of at least 5 years. Clin Oral Implants Res 15(6); 625-642,2004.
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インプラントのトラブルでいかに大きい部分が補綴学的合併症であるかを再認識する結果となりました。

2024年3月 5日

hori (08:07)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

部分入れ歯の鉤歯の喪失リスクはブリッジの約3倍。

Aqulinoらは部分入れ歯鉤歯とブリッジ支台歯の生存率の比較を行い、ブリッジ支台歯の生存率は10年で92%、部分入れ歯の鉤歯は56%と、ブリッジの方が生存率は高いと報告しており、約Cabanillaらも部分入れ歯の鉤歯の喪失リスクはブリッジの約3倍と報告している。その理由として、佐藤らは、部分入れ歯の鉤歯は、クラスプやバーを介して欠損部にかかる咬合力を一部負担することによる力学的な要因や、クラスプやバーにより鉤歯の歯周組織状態が悪化するという衛生学的な要因によって生存率が低下するとしている。
(参考文献)
Cabanilla l. L., Neely A. L., Hernandez F. : The relationship between periodontal diagnosis and prognosis and the survival of prosthodontic abutments: a retrospective study. Quintessence Int. 40: 821-831, 2009.
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部分入れ歯は残存歯が減りやすいタイプの装置かもしれない。

歯の喪失リスクが高い人は7.1%。

・矢野らは歯科予防処置を受けた成人663名の10年の追跡調査で、269(40.6%)に歯の喪失が認められ、喪失本数は747歯であったと報告しているが、なかでも5歯以上の多数歯を喪失した人数は47名で全体の7.1%にもかかわらず、喪失歯の総数は369歯で全喪失歯の49.4%によび、喪失傾向の強い群の存在を提起している。
(参考文献)
矢野正敏, 他 : 歯科疾患予防管理を受けた成人における歯の喪失リスクの要因分析. 口腔衛生学会誌, 1998.
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学校歯科検診同様、大方歯に問題がない方が大半であるのに対して、少ない数の患者さんで問題ある歯を多数抱えているというのは、歯科臨床を行っている自分自身の感覚と一致しています。

2024年2月25日

hori (08:52)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

CAD/CAM材料の曲げ強さと疲労に対する酸性溶液の影響

CAD/CAM材料の曲げ強さと疲労に対する酸性溶液の影響
(研究目的)
酸性溶液がCAD/CAM材料の表面粗さ、曲げ強さ、疲労に及ぼす影響を比較調査することを目的とした。
(研究内容)
4種類のCAD/CAM材料(高透過性ジルコニア(Ceramill Zolid HT+ : CZ))、二ケイ酸リチウムガラス(IPS e-max CAD : EC)、ポリマー含浸セラミックス(Vita Enamic : VE)、ナノハイブリットコンポジットレジン(Grandio Blocs : GB))を棒状試験片に加工し、異なるpHの溶液(胃酸:pH1.2、オレンジジュース : pH2.7、白ワイン: pH3.3、炭酸飲料: pH3.9、人口唾液: pH7)に37度、70rrpm震盪下で24時間浸漬した。浸漬後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた表面観察、接触式表面粗さを用いた表面粗さの測定を行った。
また、浸漬後試料に繰り返し過重負荷による疲労を与え、3点曲げ試験により疲労前後での曲げ強さを調査した。
(研究結果)
SEMによる表面観察より、すべてのCAD/CAM材料で酸性溶液浸漬後に表面性状の変化を認めた。
CAD/CAM材料の種類と酸性溶液は、表面粗さに有意に影響した。
曲げ強さはCZ>EC>GB>VEであり、すべての材料間で有意差を認めた。
酸性溶液浸漬と繰り返し過重負荷後に、すべてのCAD/CAM材料で曲げ強さの低下が認められ、特にCZとECで有意に低下した。
(結論)
酸性溶液はCAD/CAM材料の表面粗さに影響し、疲労は曲げ強さに影響した。
酸性溶液はガラスベースのCAD/CAM材料の表面粗さを大きく変化させた。
CZとECは高い曲げ強さを示したものの、疲労耐性はGBとVEが高いことが明らかになった。
(参考文献)
Effect of accic media on flexural strength and fatigue of CAD/CAM dental materials. Elraggal A, R Afifi R, Alamoush RA, Raheem IA, Watts DC. Dent Master,39 : 57-69,2023.

歯間清掃習慣や歯数の維持で、2型糖尿病患者の血糖変動が良好に。

糖尿病と歯周病は密接に関係し、2型糖尿病患者に歯周病治療を行うと血糖コントロールが改善されることが明らかになっている。
サンスターらは、通院中の2型糖尿病患者を対象に、口腔衛生指標と連続した24時間の血糖変動などの血糖管理指標調査し、その関係性を分析。
その結果、歯間清掃習慣や歯数の維持が、HbA1cや空腹時血糖値といった検査値だけでなく、24時間の血糖変動の質の良さを示すTime in Rangeとも関係することが明らかになった。
Time in Rangeは、持続血糖値で測定した血糖が目標域に入った時間の割合を計算した値で、合併症の発症・進展や死亡率に関するとの報告が増えていることから、血糖変動の質を示す指標として注目が集まっている。
(Dentalism No.60 )
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歯間清掃習慣や歯数の維持で、2型糖尿病患者の血糖変動が良好になることが明らかになりました。

2023年12月 1日

hori (08:54)

カテゴリ:インプラントと糖尿病

エンドクラウンって、何?!

・エンドクラウンは、CAD/CAMのモノブロック加工技術の進歩とともに発展し、欧米を中心に認知が広がった。
2000年代からエンドクラウンに関する様々な基礎研究や臨床研究によって、その有効性が検討された。
2020年と2021年のメタアナリシスでは、臨床研究の予後を統計解析した結果、小臼歯と大臼歯の両方に適用できるというエビデンスが示された。
また、2021年にはヨーロッパ歯内療法学会のポジションステートメントにも選択肢として刑された。
エンドクラウンは、海外で広く認識され、多くの歯科医師によって実践されているが、2023年現在、国内では大学関係者や一部の臨床家に認識が限られている。
(参考文献)
European Society of Endodontology developed by Francesco Mannocci et al: European Society of Endodontology position statement : THe restoration of root filled teeth. Int Endod J, 54(11): 1974-1981, 2021.
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CAD/CAM冠は強度を考え、比較的厚みを十分に必要とされたので、その結果、脱離が比較的多いという問題がありました。
ところが、エンドクラウンの場合には、その保持力を髄腔に求めるので、脱離や破折の心配が少ないだけでなく、再根管治療の際の穿孔の危険性も少ないことが予測されます。
また、CAD/CAMのモノブロックを削り出すことを考えれば、クラウン部分のみよりクラウンと築造部分の合わせた部分をまとめて削り出すという意味では合理的であると考えられます。

2023年11月 5日

hori (08:10)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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