歯がなくなくなれば、歯周病菌はいなくなるのか?

以前、無歯顎患者ではA.a菌、P.g菌はいなくなると考えられていたが、Sachdeoらは61人の無歯顎患者(1年以上の総義歯装着経験)において両菌を確認したと報告している。
 
さらに、Fernandesらは無歯顎で補綴物を装着していない状態(つまり、細菌が付着できる硬組織が口腔内に全くない状態)が1年間続いても口腔内から歯周病原因菌が検出されたと報告している。
 
以上のことから、アバットメント装着直後はインプラント周囲に細菌がきわめて少ない状態であっても、すぐに歯周病原因菌は侵入し、繁殖すると考えられる。
 
(参考文献)
 Sachdeo A, Haffajee AD, Socransky SS. Biofilms in the edentulous oral cavity. J. Prosthodont. 2008;17(5) : 348-356.
 
Fernandes CB, Aquino DR, Franco GC, Cortelli SC, Costa FO, Cortelli JR. Do elderly edentulous patients with a history of periodontitis habor periodontal pathogens? Clin Oral Implants Res. 2010; 21(6) : 618-623.


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以前、とあるオールオンフォーの大家が、『オールオンフォーは歯をすべて抜歯するから、歯周病菌が口腔内からいなくなる。

それゆえ、オールオンフォーはインプラント周囲炎にはならない。』と講演の中で話されていて、正直、『本当?』という思いで聞いて言いましたが、それが誤りだということがこの文献により、明らかになりました。

2012年12月 1日

hori (11:12)

カテゴリ:インプラントについて

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