インプラントについての最近のブログ記事

審美領域における光学印象は難易度の高い術式である。

・光学印象を直接法で用いる場合、作業模型がないので、得られたデータをもとに光造形モデルを起こして上部構造を製作しようとする試みがなされているが、まだまだ適合精度に問題がある。
間接法で行う場合は、ロボキャスト技術を用い、ラボアナログ付きの模型を製作することも可能であるが、粘膜貫通部の再現性が乏しい。
そして、何よりの欠点はデジタルコーディッドアバットメントの形態にある。
前歯部等の審美領域においてはティッシュスカルプティングを必要とするが、アバットメントの形態が円柱状であるために、スカルプティングを行うと、粘膜貫通部の上皮が破壊されやすく、アバットメントの着脱を最小限にすることと相反するため、ジレンマに陥ってしまう。
以上の点を考慮すると、いまだ審美領域における光学印象は難易度の高い術式であると考えられる。
アバットメント着脱を最小限にすることと、審美性を獲得するために、ティッシュスカルプティングを行いながら、審美的な補綴装置を製作する手法とは相反している。
また審美的な理由でジルコニアアバットメントを必要とする場合も多いが、強度を考慮すると適応症例は少なくなる。
一方、CAD/CAMアバットメントの利点としては、スクリューリテインの補綴装置を製作する場合、メーカーによっては鋳造のものと比べてアクセスホールを最小限にすることができるため、強度を上げることができる。
予めガイドサージェリーを用い、臼歯部においては咬合面の中央に、前歯部においては基底結節と切縁の中央に位置させることで、強度を保ちながらスクリューリテインの補綴装置を製作することが可能となる。
つまり、現時点ではデジタルデータのみでインプラント上部構造を製作することは難易度が高く、特に軟組織のマネジメントを考え、強度を有する上部構造を製作することは難しい。
(The Fabric of the Modern Implantology )
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最先端治療のCAD/CAMによるインプラント治療ですが、デジタルデータのみで臨床応用するには、現時点では困難であるようです。
今後に期待したいですね。

2018年2月 1日

hori (08:57)

カテゴリ:インプラントについて

ISQ値は微小動揺に比例。

・TrisiらやPaglianiらによると、ISQ値はインプラントの埋入トルク値ではなく微小動揺に比例するとしている。
ISQ値が低いとインプラントの微小動揺が大きく、ISQ値が高いと微小動揺が小さいことを意味する。
つまり、埋入時においてISQ値が高い場合はインプラントの初期固定が高いことを意味し、術後経過時におけるISQ値の変化はインプラントの微小動揺が増減していることを現す。
(The Fabric of the Modern Implantology )
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即時荷重インプラントを行う多くの歯科医師は、これまで埋入トルクを記録して、即時負荷が可能かどうかの目安としてきました。
ところが、比較的最近、ISQ値が微小動揺に比例することが明らかになりました。
また埋入トルクが大きすぎることが、逆にインテグレーションを遅らせることも明らかになってきました。
これについても"昨日の常識は今日の非常識"といえる内容です。
やはり歯科医師は研鑽を続けなくてはなりませんね。

2018年1月15日

hori (17:24)

カテゴリ:インプラントについて

気象変化で慢性歯周炎が急性化。

・天候が歯や口の健康に影響している可能性がある。
岡山大学大学院医歯薬総合研究科予防歯科学分野の森田学教授、竹内倫子助教らの研究グループが、慢性歯周炎が急性化するのは気象変化後1-3日後であることを発表した。
同研究グループは、岡山大学病院予防歯科を受診している「安定期にある慢性歯周炎患者」延べ2万人を調査。
慢性歯周炎における急性期の発生と気象状態との関連を分析した。
慢性歯周炎の急性期症状を発症した症例(発症率1.87%)のうち、発症要因が歯科関連とは考えにくいケースに注目。
「気圧低下の毎時変化が大きい」、「気温上昇の毎時変化が大きい」といった気象変化があった日の1-3日後に急性期症状を発生しやすいことを突き止めた。
慢性歯周炎は歯周病原因菌によっておこる炎症で、何らかの原因で急性化すると歯の周囲の組織破壊が急速に進む。
気象変化が原因となるメカニズムは不明だが、気圧や気温の変化がホルモン分泌や循環器系に影響し、慢性歯周炎の急性期の発生に関与したと考えられるとのことだ。
Dentalism SPRING 2016 NO.23
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気圧が大きく変化する梅雨時には、口臭が気になる人が増加するような印象が個人的にはありました。
気圧の変化は自律神経に影響を与えるので、唾液の出方が変化したり、サラサラ唾液がネバネバ唾液に変化する可能性があります。
また、気温や気圧の変化自体が体にとっては、ストレスですから、それに関連して咬み締めの程度や頻度が増大する可能性も考えられます。
歯周病菌の増殖を抑える唾液の性状が変化し、量も減少し、それと同時に歯周組織には過大な咬合力がかかる、これこそが気象変化の数日後に慢性歯周炎が急性化することと関連があると考えています。
こうして考えると、インプラント周囲炎も唾液の性状や量、咬合力に影響を受けるわけですから、天然歯と同様に気象変化の影響を受ける可能性が推察されます。

2016年6月10日

hori (17:05)

カテゴリ:インプラントについて

マウスピース装着者は18%

・パラファンクションへの対応、マウスピースに関するデータは、患者771名中マウスピース装着患者は133名(18%)であった。
このマウスピース使用患者の133名について調べた場合、インプラントの失敗(骨吸収を含む)を認めた患者は133名中6名(4.5%)、また失敗を認めない患者は133名中127名(95.5%)となり、マウスピースの未使用患者638名に関してはインプラントの失敗を認めた患者は59名(9.2%)、失敗を認めない患者は579名(90.8%)であった。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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あくまでこのグループのデータかと思いますが、パラファンクションへの対応するためのマウスピースの着用率が18%という結果でした。
マウスピース着用率がそれほど高いとは思いませんが、着用してもしなくても、思ったほどインプラントの失敗には影響しないという印象を受けました。
おそらく力の要素が大きく関与して天然歯を失ったタイプの方に対しては、私たちはマウスピースを強く推奨するべきだし、一方それほど力の関与が大きくないと判断されるタイプの方には、セラミックスの破損が平均レベル以上と術者が判断した時点で、患者さんにマウスピース着用を推奨するというのもいいかと思います。
ただ近年、現在当院で多く使用しているようなメタルセラミックスよりも硬いマテリアルが登場し、インプラントの上部構造に使用されているケースも少なくないと考えられます。
そのような場合には、セラミックスのチッピングはないけれど、骨吸収が生じたり、アバットメントの破折等が引き起こされていると推測されます。
過剰な力でインプラントが破壊されるのなら、最も再治療が容易な部分、すなわちインプラント上部構造が選択的に破壊されればいいと思います。
骨吸収が惹起されるよりははるかによいし、ある意味咬合面が小さくなるために、チッピングした後には受けとめる咬合力は小さくなるからです。

2016年6月 5日

hori (16:43)

カテゴリ:インプラントについて

対合歯の種類によって、補綴物のマテリアルは変える方が良いかもしれない。

729本のインプラントに998のメタルセラッミクス(単冠390、ブリッジ94)を装着したところ、ブラキシズムのあるものはないものと比較して有意に破折した。
また対合歯が天然歯の場合と比較して、インプラントの場合に有意に破折が生じ、天然歯と比較して、約7倍破折のリスクがあった。
(参考文献)
Retrospective analysis of porcelain failures of metal ceramic crowns and fixed partial dentures supported by 729 implants in 152 patients : patient-specific and implant-specific predictors of ceramic failure. Kinsel RP, Lin D. J Prosthet Dent 2009 ; 101(6) : 388-394.
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メタルセラミックスといっても、咬み合わせの面がメタルのタイプのものと、咬み合わせの面がセラミックスのタイプのものがあります。
前者がパーシャルベイク、後者がフルベイクといいます。
パーシャルベイクのメタルセラミックスとフルベイクのメタルセラミックスが咬みあった場合、破損の多くはパーシャルベイクのメタルセラミックスです。
そうなると、インプラント対インプラントの咬み合わせで考えるのなら、上下ともにパーシャルベイクのメタルセラミックスを選択すれば破損の頻度や程度は減らせる可能性があるかと思います。
しかしながら、下顎臼歯部でパーシャルベイクのセラミックスを選択してしまうと、お口を開いたときにメタルが見えてしまうという欠点があります。
そのため、セラミックスを築盛しないフルジルコニアのようなマテリアルを選択することも今後は考えられると思います。

2016年6月 1日

hori (15:20)

カテゴリ:インプラントについて

義歯が痛くて使えていない方は、外側翼突筋は萎縮しているかもしれない。

・外側翼突筋は義歯を装着している場合、垂直的な咬合を行うことが多く、顎を左右に引き出すなどの複雑な動作に慣れていない。
上下に固定性の即時荷重インプラントの上部構造が装着されている場合、硬い食物を摂取するとき、顎は左右に動作することが多くなる。
このとき、顎関節だけでなく、頬骨周辺にも関連痛が広がることがある。
顎二腹筋は喉の部分、下顎の切歯部分などの痛みが出ることがある。
咬筋、側頭筋の筋力の筋力がつくと痛みは軽減することが多い。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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『入れ歯が痛くてつらい。』という主訴で、インプラント治療を希望される方の咀嚼様式は、チョッピングタイプ(垂直咬合)からグラインドタイプ(左右に広がる複雑な咬合)に変化するものと考えられます。
咬めない状態が長期間続くと、咀嚼筋や表情筋が萎縮するので、急にインプラントで咬めるようになると、筋肉痛のような痛みを生じる場合があります。
当然のことながら、筋肉が正常に発達するようになれば、そのような痛みは消失することが多いわけです。

2016年5月30日

hori (16:07)

カテゴリ:インプラントについて

インプラントでの咀嚼訓練により表情筋も正常な状態になる。

・咀嚼筋、舌骨上筋により下顎運動が行われ、歯により食物は粉砕される。
しかし、このままでは食物が頬側(口腔前庭側)、舌側(固有口腔側)に落ちてしまう。
そこで、舌と頬粘膜が食物をうまく歯列にのせて咀嚼していく。
この頬粘膜を動かしているのが、表情筋でも頬筋となる。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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奥歯はすでに喪失し、前歯はフレアアウトした状態でようやく重い腰を上げ、インプラント治療を希望されて来院される方がいます。
そのような患者さんの治療では、インプラントが骨結合し、プロビジョナル(仮歯)で咀嚼訓練ができる時期になると、"表情のある良いお顔"に変化してくることが、歯科臨床では多く見受けられます。
これは、咀嚼訓練をするにあたって、舌筋、口輪筋、頬筋などの口腔周囲筋の協調運動訓練も同時に行っていることになるからと考えられます。
すなわち、外側は口輪筋や頬筋で歯列に寄り添い、内側は舌筋で歯列に寄り添うような運動を協調して行うことができて初めて、上下の歯列の上で食べ物を上手に咀嚼することができるのだと思います。
またその後、口蓋に舌を押し付けて陰圧を作りだし、咀嚼した食物を咽頭へ移送することも、私たちは日常的に行っています。
(これを嚥下といいます。)
これには、舌骨上筋群の協調運動も関わってくるものと考えられます。
咀嚼や嚥下を通して、表情を司る表情筋や顎周りの舌骨上筋群が正常な働きをすることによって、結果的に二重顎が解消した若々しい印象の持ち主に変化するのだと考えられます。
また、インプラントを介して奥で咬めるようになってくると、咬み合わせの中心が後方に変化するために、身体の姿勢も正しい状態になることも、若い印象には関係していると思います。

2016年5月20日

hori (15:01)

カテゴリ:インプラントについて

光機能化インプラントで即時負荷が可能となる症例が増えるか?

・光機能化されていない通常のインプラントでは、インプラントの安定性が埋入直後より一時的に低下する傾向にありましたが、光機能化されたインプラントでは、細胞の発育が早いために、インプラントの安定性が低下しないとする報告もあります。
(参考文献)
Suzuki S, Kobayashi H, Ogawa T, Implant stability change and osseo-integration spped of immediately loaded photofunctionalized implants. Implant Dent 2013 ; 22(5) : 481-490.
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当院でも光機能化インプラントを使用していますが、やはり骨結合までの期間は通常のインプラントより確実に短縮できています。
ただ、インプラントの安定性が一時的に低下するかどうかについてはもう少し様子をみようと考えています。
これについては、既存骨に埋入したケース、抜歯即時インプラントを行ったケース、GBR併用のケースなどとインプラントを埋入した状況により、分けて考える必要があるとも考えています。
インプラントの安定性が一時的に低下するか・しないかによるメリットは、埋入直後に即時に負荷をかけても大丈夫かどうかくらいの違いしかありません。
10年、20年使用することを期待して行うインプラント治療に対して、数週間早く咬めるというメリットをどう考えるのかということです。
確実な選択をしたいものです。

2016年5月15日

hori (21:00)

カテゴリ:インプラントについて

ヒーリングチャンバータイプのスレッドデザインで、インプラントの初期固定度が上昇。

・一般に、埋入トルク値とインプラント初期固定の間には相関関係があるとされ、埋入トルク値が高ければ初期固定を獲得できると考えられている。
この広く浸透している理論は、インプラントデザインというファクターを除外して考えられたもので、ブローネマルクシステムに代表されるプレスフィットタイプを元に構築された。
・IrinakisとWiebeは、140本のノーベルアクティブインプラント(プレスフィットタイプ)を87名の患者に高トルク埋入した。
このタイプのインプラントは、そのマクロ形状(スレッドデザインおよびバルク形状)から高埋入トルクの発生が報告されているが、彼らの報告でも平均埋入トルク値は50.8Nと非常に高いものであった。
それにもかかわらず、平均13か月後の失敗率はわずか2.1%であり、一般に報告されている失敗率や成功率と差異はなかった。
・Freitasらは、Jimboらもインプラントデザインによっては、埋入トルクが減少しても、インプラント初期固定が低下しないことを示唆し、インプラントデザインファクターの重要性を論述している。
これらの一連の報告はインプラントシステムによって、高埋入トルク=高初期固定ではないことを証明しており、埋入トルク値だけではインプラントの固定度を測れないことを示している。
・implant dipを回避できるスレッドデザインは、初期固定を確実に獲得でき、かつ直接新生骨の添加が可能なものであろう。
すなわち、インプラントー既存骨界面の歪みの発生を抑制できるスレッドデザインが必要であり、ヒーリングチャンバータイプが最適であると言える。
ヒーリングチャンバータイプのインプラントを埋入すると、既存骨との強固な固定をスレッド先端で獲得しつつ、インプラントー既存骨の接触面積の減少が可能で、全体の歪み量の低下に寄与する。
さらに、Berglundhらはスレッドー既存骨間に血餅が貯留することで、インプラント表面への新生骨添加が促進されることを報告している。
このようなスレッドタイプでは埋入トルク値が高ければ初期固定がとれるというプレスフィットタイプで用いた公式に当てはまらない。
そして血餅が充満したチャンバー内は骨吸収を経ることなく、新生骨が添加され、歪みによる海面周囲骨吸収の回避が確認される。
デンタルダイヤモンド 2016年 3月号 )
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当院でもインプラント埋入手術の際には、各インプラントの埋入トルクを記録しています。
一般には埋入トルクが高い方が早く次のステップに入れることが多いですが、例外があります。
骨質が硬すぎるケースです。
骨質が硬すぎると、オーバーヒートが発生し、骨火傷を惹起します。
インプラント埋入手術後に鈍い痛みが続くケースは骨火傷が疑われます。
今回、ノーベルアクティヴ インプラントの失敗率2.1%というのは、硬すぎる骨質に対して、高トルクでインプラントを埋入してしまったことによると考えられます。
このような場合、インプラントホールの径を若干大きめにするか、アンダーサイジングドリルの程度が小さいインプラントシステムを用いるべきだったと思います。
以前、UV照射による光機能化をインプラントに対して行うと、implant stability dipを回避できるという話題がありましたが、それ以外にもスレッドデザインをヒーリングチャンバータイプにするという方法もあることが今回の記事で分かりました。
なお、ヒーリングチャンバータイプは、チャンバー内に歪みは生じないために埋入トルク値は低くなるが、初期固定はスレッド先端部で獲得されるとのことです。

2016年5月10日

hori (16:16)

カテゴリ:インプラントについて

インプラントでの咀嚼によって得られるメリット

・義歯の不適合により痛みを我慢して、咀嚼機能を充分に果たすことのできない義歯、または義歯不装着になっている人に比べ、インプラント補綴により実現される食物の十分な咀嚼は、以下のような利点が挙げられる。
1. 脳の活性化とリラックス作用
2. 脳の血流量の増加(義歯と比較して)
3. 口腔機能向上による誤嚥性肺炎の予防
4. 転倒による大腿骨骨折などの予防
5. 低アルブミン症などの栄養改善
6. 活性酸素の消去
7. 運動機能の向上
8. 骨粗鬆症の抑制(十分な咀嚼が不適合義歯によってなされないことによる)
9. 老化の防止
10. 運動機能の向上
11. アルツハイマー型認知症などの防止
12. 食物の発がん物質の発がん性の減弱
13. 肥満の抑制
14. 十分な咀嚼を可能とすることから糖尿病の治療効果の向上
15. 大脳皮質の神経活動を活性化する。
16. 免疫機能の増進、唾液分泌を促進させる。
17. 十分な咬合回復ができ、脳の前頭前野の代謝量を増加させ、ワーキングメモリー能力を向上させる。
18. 姿勢制御の増進
などに効果があると考えられる。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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インプラントは単純に咬めない状態が咬めるようになるというものではありません。
インプラントが体全体へどのような影響を与えているかといえば、脳への影響、肺炎予防、大腿骨骨折からの寝たきりの予防など挙げればきりがありません。
当院では、治療前後での顔貌や身体の姿勢の変化を記録していますが、インプラント治療や歯列矯正治療で問題のある咬み合わせを改善すると、病的な印象が健康的な印象に変化してくることは少なくありません。
これらもインプラント治療を通して、患者さんの全身の健康レベルの改善に寄与していきたいと考えています。

2016年4月30日

hori (14:13)

カテゴリ:インプラントについて

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