奥歯をないままにしている、60代の女性の方へ

上下の大臼歯同士で、1本も咬む所がないという方が来院されました。

以前、他の歯科医院で部分入れ歯は作っていただいたとのことでしたが、入れ歯が動き、痛みもあるということで、使用せずそのままになっていたそうです。

この方は元々の咬合力も強く、残存している歯牙がすべて外側に傾いて、いわゆる出っ歯の状態となっていました。

そして咬合力の大部分がかかる小臼歯部に痛みを感じてのご来院でした。

この痛みのある小臼歯部に症状を取る処置を行いましたが、その処置を行うと、低下している咬み合わせの高さが一層低下します。

(この処置は、咬合力が治療している歯に伝わると、痛みが出るので、治療中は反対側の歯と接触しないようにするのです。)

そうなると前方に傾いている前歯が今以上に傾きます。

また仮に心機一転、入れ歯を使用することにしたとしても、咬み合わせの高さが低下しているために、入れ歯の厚みが薄く割れてくることでしょう。

やはり、この方の咬み合わせの崩壊をまた一歩進めないようにするには、インプラントしかありません。

インプラントで、垂直的な高さが維持できれば、前方歯の負担が軽減されますから、前方への傾斜の程度も抑えられ、小臼歯に痛みが出ることもなくなることでしょう。

成人になり、口元が突出感を感じている方のほとんどは、臼歯の数が減少しています。

前歯をきちんとした状態にしたいという希望の方は少なくないですが、前歯の状態を維持するためにも、大臼歯の治療をおろそかにするべきではありません。

前歯と臼歯ではそれぞれが異なる役割を担っており、片方だけが存在して、良い状態が続くことはありえないからです。

2011年10月 8日

hori (16:03)

カテゴリ:インプラントについて

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