上下顎で、4本以上残存歯数が違う人の共通点

上下顎の歯数差も喪失リスクとして捉えておくべきだと思っている。

当たり前だが、少数歯欠損歯列で上下顎に大きく歯数差が生まれることはない。

1歯欠損から1歯残存までの1865人中、90%は上下歯数差が3歯以内だった (1670/1865=90%) 。

歯数差が5歯以上離れるのは診療室の環境にもよるだろうが、5%以内だろう。

しかし、現在歯数が20歯の症例では4歯以上差に広がる症例は4割を超える。

その歯数差の大きい症例は、その後の喪失速度が速く、時に通常の5-6倍の喪失速度に達することもまれではない。

臨床ではこの上下歯数差は喪失のリスクの診断項目として加えておくべきであろう。

(日本歯科医師会雑誌 vol.33 2014年3月号)


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上下で歯の残存歯数が大きく異なっている方は、入れ歯でお困りの方が多いように感じます。

そのような方のお口を拝見すると、元々歯列不正があって、咬み合わせに左右差がある場合や、咬合力が過大な場合、歯ぎしり・食いしばりの程度が重い場合などが、その原因となっていると推測できます。

歯のないところにインプラント治療を行うことはさほど難しいことではありませんが、咬み合わせの是正をしたうえで、インプラント治療を行うことは比較的難易度が上がります。

長期にわたって安定したインプラント治療を行うために、マクロな視点を持ちたいものです。

2014年3月26日

hori (08:53)

カテゴリ:インプラントについて

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