マイクロエキスカによるエンド治療

根管の3つの治療法
1.アンダーめに治療する。
抜髄症例の場合にはほとんど問題ないであろうが、感染根管治療の場合には、細かく分岐した根管には細菌が残る。
実際には抜髄症例の歯髄の中にも細菌がいることが証明されている。
2.垂直加圧根管充填による治療
良く洗浄すると太い方の根尖分岐には根管充填することができるであろう。
しかし、細い方の分岐に根管充填するのは難しいかもしれない。
やはり細かく分岐した細菌が残る可能性がある。
3.マイクロエキスカによるエンドが目指している治療
問題のある部分をほとんど処置することができる。
欠点としては、根管が太くなること、根尖孔が大きくなるため、MTAで根管充填しなくてはならないことである。
症例の感染の重症度に応じ、3つの治療法を使い分けるのがよいと思われる。
(エンド難症例への挑戦 より)
*****
3による治療でなければ治癒しない歯牙はどれほどあるのでしょう。
この本の中には根管洗浄についての記載はほとんどありません。
主根管をきっちり根管拡大し、洗浄するという古くからの方法の技術レベルをまず向上させることが重要であると考えています。
若い歯科医師は、まずマイクロスコープ、マイクロエキスカ、MTA等の高価な機材やマテリアルを購入するかもしれません。
そして、『購入したからには、元を取らなければならない。』という気持ちになり、3の治療の割合を増やす方向で採算を合わせようとする可能性もあります。
(当然のことながら、保険診療では3の治療はコスト的にも時間的にも非常に困難です。)
win-winの関係とはよく聞きますが、業者:win(++)、歯科医師:win(+)、患者さん:win(±あるいは-)にならないようにしなければなりません。
日本の歯科では、根管洗浄を行う時間が欧米より少ないと聞きます。
(治療費が保険で低く押さえられているので、時間が十分にはかけられないという状態が、日本の歯内療法の平均的な姿です。)
まずは根管洗浄を昨日よりも少しだけ頑張る、根管洗浄が容易になるように、その根管を確実に拡大する方向で、歯科治療の質を変えていけたらと思います。
ただ実際問題、当院では、"総合治療"を受けられている患者さんの根管治療に限っては、"自由診療の根管治療のつもりで治療を行う"のが現状となっています。
根管治療が日本の保険診療から外れてくれたら、インプラントの治療費と同じか少し高めに治療費を設定したいくらいです。
何でもそうですが、良い面と悪い面があるものですね。

2015年5月30日

hori (07:57)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

« 抜歯で、注意が必要なケースとは? | ホーム | 遺伝子型による歯周病の予後判定 »

このページの先頭へ