ストリッピングパーフォレーション、根管のトランスポーテーションでは、最初からインプラント治療も視野に入れるべきではなかろうか。

・Gorni FGらは、再根管治療において根管の解剖学的形態が維持されているケース、破壊されているケースに分けて2年間の予後分析を行った。
その結果、全体の平均の成功率は69.0%であったが、前者では86.1%まで成功率が上がったものの、後者では48.3%と低い成功率を示した。
また、後者を細かく分類したところ、ストリッピングパーフォレーション(28.0%)、根管のトランスポーテーション(35.6%)の成功率が低いことを示した。
さらに、術前に根尖部に透過像のあるケースの成功率は、40.0%であった。
つまり、再根管治療では、根管が以前の治療で大きく破壊されていると成功率が低いことが分かる。
まず成功率の低いトランスポーテーションは、裸眼では修正することが非常に困難。
一度根尖部で主根管を外湾、内彎に離れてパーフォーレーションを起こすと、主根管の感染源が残ってしまい、病変の治らない原因となってしまう。
ストリッピングは、根管の内彎側で起こることが多く、歯質が菲薄化している。
また根管内であるがゆえに部位の特定が困難で、その周囲の感染源を取り除く適切な機材は今まで存在していなかった。
このように、再根管治療において、歯質が大幅に破壊されているケースでは、現在問題が分かっても処置する方法がないというのが、この成功率に現れている。
マイクロスコープの普及とともに、われわれは従来の裸眼での処置ではない得なかった鮮明な拡大視野を手に入れた。
しかし、その得られた拡大視野を充分に活かせるツールの開発は遅れているのが現状である。
(参考文献)
Gorni FG, Gagliani MM. The outcome of endodontic retreatment : a 2-yr follow-up. J Endod 2004 ; 30 : 1-4.
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今回のデータは、平均的な歯科医師が行った治療成績ではなく、海外の歯内療法専門医の行ったデータでしょうから、再根管治療の中でも、ストリッピングパーフォレーション、根管のトランスポーテーションが原因となっている歯牙については、日本の歯科開業医の治療成績はもう少し低いものと考えられます。
そうなると、根管のストリッピングパーフォレーションやトランスポーテーションは、最初から、インプラント治療を視野に入れるのも一つかと思います。
私たちは、マイクロスコープで鮮明な拡大視野を手にすることに可能になっても、根管を無菌化するツールの開発はまだまだ遅れているので、結果として、根管治療が更に難治性になっているように感じます。

2014年11月20日

hori (17:05)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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