歯周病に抗菌薬を投与しても、6か月でその効果は消失する。

・慢性歯周炎の治療に抗菌薬がしばしば用いられるが、抗菌薬を投与するための微生物指標に関するエビデンスが不十分であることが、抗菌薬乱用の危険性に繋がり、結果として耐性菌を増加させてしまう。
本論文では、歯周病原菌にターゲットを絞らない網羅的な微生物の同定法を用いて、通常の歯周治療において、抗菌薬を用いる、あるいは用いない場合の1年間の歯肉縁下細菌叢(マイクロバイオーム)の変化を調査している。
結果、抗菌薬は治療3か月後の細菌叢を大きく変化させるものの、6か月後にはその効果は消失し、長期的な効果はなかった。
治療成果の予測に関しては、治療前における微生物群の多様性や口腔内にあまり見られない細菌群の存在が重要であり、抗菌薬を用いない方がよりよい治療成果に繋がると予測された。
これらの結果は、抗菌薬の乱用への警鐘と、抗菌薬使用の指標決定の一助に繋がると思われる。
今後は、生態学的アプローチに基づいた代替療法(プロバイオティクス等)を見出す必要性がある。
(参考文献)
Microbial profiles at baseline and not the use of antibiotics determine the clinical outcome of the treatment of chronic periodontitis. 01,Feb, 2016. SCIENTIFIC REPORTS.
*****
バイオフィルム感染症である歯周病は、ただ抗菌薬を投与しても効果があるのは、3か月であること、6か月後にはその効果はなくなっていたというエビデンスです。
また、代替療法として、プロバイオティクスが挙げられていますが、歯周病をプロバイオティクスで改善させるというのは、口腔内の悪玉菌である歯周病菌を減らし、善玉菌あるいは日和見菌の割合を増やすことかと考えられます。
15年ほど前に、「驚異の乳酸菌歯磨き」という本を読みましたが、現在アマゾンのカスタマーレビューで星5つが一人、星4つが一つ、計2名の評価。
これを元に考えると、それほど多くの人に評価された方法ではないものと推測されます。
また、個人的には、唾液の緩衝能力を超えて、常にpH4のヨーグルトを口腔内に長期間入れておくと、歯周病が改善するよりも、歯が溶けるだけなのではなかろうかと考えていました。
エナメル質はpH5.5で溶けるわけですから。
プロバイオティクスによる歯周病治療が、今後見出されることを期待しましょう。

« 下顎骨は経年的に後方回転し、天然歯は挺出しながらその変化に適応する。 | ホーム | ブラッシングのみでは口腔内細菌が約75%も残る! »

このページの先頭へ