歯根破折は現代病!

・筆者は歯根破折を、ある意味、現代病であると位置付けている。
なぜなら、歯根破折は過去半世紀以前において、その研究データが蓄積されていないからである。
したがって、歯科補綴学は歯根破折という新たに生まれた病態により、いままでの補綴学の歴史を大きく変えるかもしれない。
いうならば、この現代病を克服することが、歯科補綴学にとってはビックデータ以上の価値を創生することに繋がるのではないだろうか。
(行田克則の臨床アーカイブ 補綴メインの長期100症例 )
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近年、歯科医院でのメンテナンスが定着して久しいです。
メンテナンスを定期的に受けていると、歯の長期安定が期待できます。
しかしながら、メンテナンスを受けてもいても避けられないのが、歯根破折といわれています。
歯根破折が比較的最近、頻発するようになったのにも、個人的には何か原因があると考えています。
その一つが、私たち人間が長生きをするようになったことと関係しているように思います。
人生50年の時代では、歯牙にクラックが入る前にお亡くなりになっていたので、歯牙のクラック由来の歯根破折があまり問題にならなかったのではないかと考えています。
クラックは小さいものが複数集まり大きなものへと経時的に変化していきます。
上下的に毎日のように咬合力がかかる歯牙は、いつかは割れてしまうというわけです。
しかも現代はストレス社会ですから、歯牙接触癖がある方も多いことも歯根破折がトピックになっていることと関連していることでしょう。
力が原因して歯牙を失ってしまった場合、他の条件を変えずにその場所だけインプラントに置き換えた場合、意図的に低い咬み合わせのインプラントを入れない限り、インプラントには過剰な力がかかるということは想像に難しくありません。
やはり、咬み合わせ治療のツールとしてのインプラント治療を、私たち術者は常に考えなければならいと考えています。

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