上顎前歯部のインプラントのの最近のブログ記事

人はなくなったときに、義歯を入れた方がいいのか?

・人はなくなったときに、義歯を入れた方がいいのか?、入れない方が良いのか?
人は息を引き取った瞬間から筋肉の弛緩が起こるために、重力の影響を受けて皮膚が下垂します。
ご遺体はほとんどの場合、仰殴位に安置されているために、顔の皮膚が背面に向かって引っ張られるように下がっていきます。
そのため、亡くなった方に義歯を入れたままにしていると、義歯床の厚み分だけ口元が盛り上がって見え、見た目の印象が変わっていきます。
特に高齢で栄養状態が悪く、痩せている方だと死後にこのような顔貌の変化が起こりやすく、さらに火葬まで日延べしてしまうと、義歯を入れることでかえって日に日にその面影が失われていくことがあります。
(デンタルハイジーン 2017年11月号 )
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人はなくなったときに、義歯を入れた方がいいのか?、入れない方が良いのか?
正直考えたこともない質問でしたが、義歯の厚み分口元が盛り上がってしまうために、「入れない方が良い」というのがその答えになるようです。
そのような意味で、特に前歯部においては、義歯よりインプラントの方が死後の顔貌の変化が少ないといえるでしょう。

2017年12月 1日

hori (08:53)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

インプラントの生物学的幅径は一定ではない。

・インプラントの生物学的幅径は歯とは異なり、一定ではない。
上顎前歯部:4.5±1.4ミリ
上顎小臼歯部:3.7±1.3ミリ
下顎臼歯部:3.0±1.1ミリ
(参考文献)
Fuchigami K, Munakata M, Kitazume T, Tachikawa N, Kasugai S,Kuroda S: A diversity of peri-implantmucosal thickness by site. Clin Oral Implants Res, 28(2): 214-218,2017.
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天然歯の生物学的幅径は、歯牙の種類に関わらず3ミリ前後ですが、インプラントの生物学的幅径は前歯、小臼歯、大臼歯でそれぞれ異なることが明らかになりました。
元々の歯肉の厚みが薄い場合は、どの部位でもインプラント埋入深度は深めになりますが、前歯部では大臼歯よりも埋入深度をさらに深めに設定する必要があるということになります。
上顎前歯部におけるインプラント治療では歯槽骨幅が薄いため、唇側に十分な歯槽骨を残すことができず、その結果、歯肉が退縮する危険性がありました。
そのため、FGGやCTGなどによって歯肉の厚みを増大させる処置が必要となっていました。
ところが、上顎インプラントの生物学的幅径が大臼歯よりも多く必要になるということですから、付加的な処置を考えるよりも、まずは生物学的幅径を配慮しての埋入深度を決定するべきといえるでしょう。

2017年8月30日

hori (11:28)

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前歯部インプラントへのカンチレバー適応

・前歯部へのカンチレバー適応に関する考察
審美的な観点から、前歯部2歯欠損に対しカンチレバー上部構造とCTGを併用した術式は有効と考えられる。
しかし、生体力学的な観点からは許容できるのだろうか?
2012年のRomeoらのシステマティックレビューによると、カンチレバー上部構造は、通常の上部構造と変わらないインプラントの生存率を示し(98.9%)、生物学的合併症は5.7%にみられたと報告している。
機械的な合併所は、べニアポーセレンの破折が10.1%、アバットメントスクリューの破折が1.6%、セメントの溶解による脱離が5.9%、スクリューの緩みが7.9%に見られた。
一方、審美的なパラメーターは評価がなかったとしている。
2014年のTorrecills-Martinezらのシステマティックレビューによると、5年のフォローアップでは、カンチレバーがあるからといって辺縁骨吸収を起こすわけではないが、マイナーな技術的合併症が見受けられると、やや曖昧な表現で結論づけている。
しかし、これらはほとんどが臼歯部部分欠損に対するカンチレバー補綴装置であり、前歯はほとんど含まれていない。
前歯部2本欠損に対するカンチレバーに関する論文はきわめて少ない。
Tymstraらによると、上顎前歯部の連続する2本欠損に対し、インプラントを2本埋入した場合と1本のみの埋入でカンチレバーを含む上部構造を装着した場合を比較した研究において、ポケット深さ、乳頭の高さ、辺縁骨吸収などの生物学的パラメータ―や患者の満足度において差を認めなかったと報告している。
しかし、n数はわずかで、フォローアップ期間もわずか1年であり、この論文だけで結論を出すことは難しい。
また、一般にインプラントは垂直力には強いが、側方力には弱いと考えられている。
前歯部は噛みしめ時に加わる力は臼歯よりはるかに弱いが、側方運動時の影響を受けやすいと考えられる。
側方ガイドの位置、角度、側方力の大きさ、カンチレバーの距離、アバットメントの太さなどの影響により、上部構造の機械的な破折が問題になると予想される。
(クインテッセンス・デンタル・インプラントロジー 2017年 vol.24 )
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前歯の2歯欠損に対するインプラント治療は、前歯の1歯欠損や前歯の3歯欠損よりも難易度が高いことが多いです。
第一選択は、径の細いインプラントを2本埋入することですが、インプラント-インプラント間の距離が不足する場合は、今回のテーマのように、カンチレバータイプも患者さんのタイプによっては、治療方法の選択肢に加えてもよいのかもしれません。
また個人的には、前歯部の外傷による歯牙破損は、同じ患者さんで繰り返し起きている場合があるように感じています。
これは、患者さんのニュートラルな顎位が前歯部だけ接触させ、臼歯部は接触させない状態にあることと関係しています。
すなわち、前歯だけが咬合接触した状態で、顔面を強打することにより、萌出方向と咬合力方向の異なる上顎前歯が破壊されるということです。
それでは、なぜ、前歯部だけを咬合接触させる癖のある方が多いのでしょうか?
それは、下顎が前に来ることにより、下顎骨に付着している舌も前方に来るために、呼吸が楽になるからでないかと考えています。
そうなると、事故で前歯部を失った患者さんにインプラント治療を行い、不幸にも再度顔面を強打する事故が起きた場合、今度はインプラントが破壊される可能性があると考えています。
というのも、骨格形態がインプラントの治療前後で、前歯部だけを咬合接触させる癖が残って場合が多いからです。
一方、前歯部だけを咬合接触させる癖のない正常な咬み合わせ(上顎前歯部の舌側に下顎前歯部が3-4?の被蓋があり、上下の歯牙の舌側には舌筋が裏打ちをした状態)の方が同じように顔面部を強打した場合、上顎前歯が破壊されるリスクはだいぶ減少するものと推測されます。
こうして考えると、骨格に問題があり、顔面部を強打し、歯牙を喪失したようなケースでは、カンチレバータイプの前歯部インプラントはリスクかもしれません。
この場合の骨格に問題があるタイプというのは、上顎のアーチが狭く上下的に長いケースです。
(またアーチの大きさが左右で異なるケースも少なくありません。)
アーチが狭いがゆえに、前歯の2歯欠損のような場合に、インプラント-インプラント間の距離が不足するわけです。
インプラント治療の相談に来られる方の骨格を精査してみると、骨格的な歪みがある場合が少なくありません。
骨格的な歪みがある方に対して、歯のないところにインプラント治療を行うことは、そこに歯があった数年前の状態に戻るだけなのです。
私たちは歯なくなるスピードを、インプラント治療で遅くしなければならないのです。
行ったインプラント治療が長持ちするために、骨格の評価、咬み合わせの評価が必須となるのです。

2017年5月10日

hori (12:07)

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歯並びの良い人が成功者

・「歯並びが良い」「真顔」「歯並びが悪い」の3様の同一人物の顔写真を見せて「社会的に成功して見える顔はどれか」と質問したところ、「歯並びの良い人が成功者」という回答が最も多かった。
また、女性に対して「歯並びの良い人」と回答した人は70%、男性に対して同じ回答をした人は55%と、男女による歯並びが与える印象にも違いがみられた。
歯科矯正治療システムを提供するアライン・テクノロジー・ジャパンが11月25日に発表した、20-40代の日米800人対象の「成功者に求められる歯並びに関する意識調査」によるもの。
(アポロニア21 2016年 1月号 )
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歯並びが良い人が、社会的に成功して見える顔という回答が多かったようです。
インプラント治療も歯列矯正治療も咬み合わせの治療としての一つのアプローチ法にすぎません。
良い咬み合わせを追求していくと、マクロな視点では歯並びの良い状態になっています。
機能を追求していくと、審美的にも良好な方向へをシフトするということになります。

2017年2月 5日

hori (08:58)

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10年後のMB単冠では、歯髄生存率は85%前後、ブリッジは70%。

・香港で行われた後ろ向き研究
単冠の陶材焼付冠(MB)あるいはブリッジを装着された歯の根尖部の状態をデンタルX線写真で判定した。
単冠の陶材焼付冠では歯髄の生活性は高かったが、上顎前歯のブリッジでは高頻度で失活となった。
10年後のMB単冠では、歯髄生存率は85%前後、ブリッジは70%。
(参考文献)
Cheung GS, et al. Fate of vital pulps beneath a metal-ceramic crown or a bridge retainer. Int Endod J. 2005; 38(8) : 521-530.
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上顎前歯部への陶材焼付冠あるいはオールセラミックスは、お口の中でもよく見えるところであるために、患者さんの治療希望の多い部位でもあります。
神経を除去すると歯が弱くなるという歯科医師もいるようですが、実際は失活歯は生活歯よりも乾燥しているというデータや、力学的に脆弱であるというデータは誤りのようです。
歯髄生存率は、単冠で85%、ブリッジで70%、その差は15%。
提供する根管治療のクオリティにもよりますが、個人的には、被せてから歯髄壊死が生じるくらいならば、最初から根管治療・根管充填を行い、支台歯形成時の歯髄へのダメージがない状態で被せた方が得策と考えています。
もちろん、患者さんには何か問題が生じた際のリスクを説明したうえで、数ある治療法から選択していただくのが良いということは言うまでもありません。

2017年1月10日

hori (14:50)

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支台歯の色、セメントの色、セラミックスの厚みが、CAD/CAMセラミックス冠の視覚的色彩に与える影響

・支台歯の色、セメントの色、セラミックスの厚みが二ケイ酸リチウム強化型モノリシック(一体構造型)CAD/CAMグラスセラミックスクラウンの視覚的色彩に与える影響
1. 4つの支台歯色(light, medium light, medium dark, dark),
2. 二つのセメント色(variolink?,のtranslucentと opaque)
3. セラミックスの厚み(1.0?、1.5?、2.0?、2.5?)である。
それぞれの色の組み合わせで分光測定器を用いて測定し、色の違いを計算する。
結果:二ケイ酸リチウム強化型モノリシック(一体構造型)CAD/CAMグラスセラミックスクラウンの色の違いは、支台歯(P<0.001)、セメント色(P<0.001)、セラミックの厚み(P<0.001)に、有意に影響を受けた。
また相互作用もこれら3つの変数間でみられた(P<0.001)。
ダークカラーの支台歯は他の変数と比較し、最も大きな色違いを示した。
セラミックスの厚みに伴い、色の違いの有意な減少が見られた。(P<0.01)。
クラウンをオペークセメントで接着した際、色の違いはわずかに減少した。
(参考文献)
Chaiyabutr y, et al. J Prosthet Dent 2011 ; 105(2) : 83-90.
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セラミックスクラウンの接着の際に、セメントの色調の違いで、最終的な補綴物の色調が変化するとされていました。
そのため、色調の異なる複数のセメントと、その色調は同じであるけれども接着力がないペーストが販売されていました。
今回の報告により、セメント色の違いよりもセラミックスの厚みを厚くするという対処方法の方が、術者のイメージ通りの色調を再現できることが分かりました。
また、セラミックスの厚みを最大限厚くしても、支台歯の色調が暗い場合は、完全にはリカバーできないということもわかりました。
そのような支台歯の色調が暗いケースでは、そもそもCAD/CAMグラスセラミックスクラウンを選択しなければよいということにもなるでしょう。
一方、インプラントでジルコニアアバットメントを使用する場合には、支台歯の色調には全く影響されないので、色調に関しては、インプラントより天然歯の補綴の方が一手間多くかかると考えてもよいかもしれません。

2016年3月30日

hori (10:54)

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歯根間距離が大きくなると、骨縁下欠損の頻度が高くなる。

歯根間距離も骨欠損形態に大きく影響する。
Talらは344か所を調べ、骨頂レベルで根間距離を骨縁下欠損の発生に相関があり、根間距離を0.5ミリで区切り、1ミリ未満から7.5ミリ以上の範囲で分類すると、2.6ミリより大きくなるとその頻度が高くなる(20-57.1%)と報告している。
(参考文献)
Tal H. Relationship between the interproximal distance of roots and the prevalence of intrabony pockets. J Periodontol 1984 ; 55 (10) : 604-607.
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歯根間の距離が特定の部位だけが広く空いているところは、その部位には歯槽骨がなくなる場合が多いという趣旨の論文です。
そのような歯は動揺度が大きい場合も少なくなく、それゆえ、インプラント治療の適応になる場合もあります。
しかしながら、その一方で、歯根間距離を歯列矯正等の手法で、適正な状態とすることで、インプラント治療を回避できる場合もあります。
患者さんの価値観に合った治療を提供したいものです。

2014年10月30日

hori (08:50)

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上顎前歯部インプラントの歯肉退縮

・上顎切歯部における単独インプラントの即時埋入・暫間補綴後の辺縁歯肉の変化について : 患者47名の5年間の後ろ向き研究
中切歯部には直径4.3ミリのインプラントを19本埋入した。
側切歯部には直径3.5ミリのインプラントを20本、直径4.3ミリのインプラントを8本埋入した。
辺縁歯肉の退縮量の平均は、最終補綴物装着時に0.16ミリ、3か月後で0.27ミリ、1年後および5年後で0.30ミリだった。
辺縁歯肉の退縮量は、中切歯部では5年を通して0.35ミリ、側切歯部では直径3.5ミリインプラント埋入で0.08ミリ、直径4.3ミリインプラントで0.82ミリを示した。
辺縁歯肉の退縮量は、側切歯部におけるインプラント直径4.3ミリと3.5ミリとの間で統計学的に有意な差が認められた。(P<0.05)。
術前に決定した歯肉バイオタイプは47本のインプラントのうち36本が厚い歯肉バイオタイプ、11本が薄いバイオタイプだった。
辺縁歯肉の退縮量は、厚い歯肉バイオタイプと薄いバイオタイプの間で統計学的に有意な差が認められた。(P<0.05)。
唇側よりに埋入したインプラントは口蓋側に埋入したインプラントより歯肉退縮の量および頻度が増加することを示す。
インプラントを適切な位置に埋入しても、より太い直径のインプラントを埋入した場合、インプラントが頬側の骨を侵害し、結果として歯肉退縮を増加させる。
歯肉バイオタイプは、インプラント補綴物周囲における辺縁歯肉の退縮について潜在的に強く関連している。
インプラント即時埋入アプローチ後に厚い歯肉バイオタイプと比較し、薄い歯肉バイオタイプでは大きな歯肉退縮が生じ、1ミリ以上の歯肉退縮を生じる頻度も増加するとChenらは報告した。
しかしながら、今回の研究では決定的な要因として強調されるべきなのは歯肉バイオタイプではなく、インプラントの直径であった。
インプラント即時埋入・暫間補綴(IIPP)における適切なカスタムアナトミックプロビジョナルアバットメントを用いることが歯肉退縮を減少させる因子である。
Touatiらは唇側面におけるアバットメントのエマージェンスプロファイルは、インプラント周囲歯肉の適切な成長および支持を高めるためにアンダーカントゥアで平坦にすべきであると強調している。
ほとんどの歯肉退縮がIIPP後3か月の治癒期間内に生じるため、最終補綴へ進む前にエマージェンスプロファイルを構築し、安定するまで待機時間を設けることは重要である。
(参考文献)
Gingival margin changes in maxillary anterior sites after single immediate implant placement and provisionalization : a 5-year retrospective study of 47 patients. Int J Oral Maxillofac Implants 2014 : 29(1) : 127-134. Ross SB/Pette GA/Parker WB/Hardigan P
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上顎前歯部におけるインプラント治療では、治療後の歯肉退縮がときに問題になります。
一般に歯肉が薄いと歯肉退縮の程度は大きくなりますが、歯肉の薄いタイプの方に歯肉移植を行うよりも、細いインプラントを口蓋側に埋入する方が、歯肉退縮を減少させることに寄与するというエビデンスが今回紹介する論文です。
適正な位置にインプラントを埋入しても、直径の太いインプラントを使用すると、歯肉退縮が起きやすいというのも臨床家は知っておかなければならない情報となるでしょう。

2014年7月10日

hori (16:42)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

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