永久歯の先天欠如により、歯列のバランスは崩れる。

・乳歯に先天欠如があると、後継永久歯の約75%に先天欠如が見られる。
乳歯癒合歯の場合も、後継永久歯の40-50%に先天欠如がみられる。
すなわち、乳歯に先天欠如や癒合があると、永久歯の先天欠如が発現しやすい。
・永久歯の先天欠如の発症頻度は、10.09%であり、男子より女子に多い傾向がある。
歯種別では下顎第二小臼歯、下顎側切歯、上顎第二小臼歯、上顎側切歯が多い。
また、発症パターンとして、2歯以上の先欠が先欠全体の48.3%を占めることが分かった。
両側性は先欠全体の30.6%であったのに対して、両顎性は先欠全体の7.3%と少ない傾向であった。
(デンタルダイヤモンド 2017年9月号 )
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永久歯の先天欠如があると、そのスペースを閉じるかのように、後方歯牙の前方傾斜や、対合歯の挺出が惹起されます。
すなわち、永久歯の先天欠如により、歯列・咬み合わせのバランスは崩れるということです。
また、その状態を改善しようとすると、歯列矯正治療やインプラント治療が必要となります。
一方、歯牙にはその歯種によって、それぞれ役割が異なります。
例えば、人体で最も歯根長の長い犬歯は、歯列のカーブのところに位置しており、側方力がより多く受け止める役割を期待されています。
しかし、側切歯が先天欠損している場合、側切歯の位置に犬歯が移動し、犬歯よりも歯根長の短い第一小臼歯が本来犬歯の存在する位置に移動することになります。
これは、犬歯の役割を担わなくてはならない第一小臼歯には過剰な負担となるということを意味し、長期安定が疑問視される場合が出てくるということになります。
また、その中のある一定の割合の方が、将来インプラント治療が必要になるように考えられます。

2017年11月 1日

hori (09:31)

カテゴリ:インプラントと歯列矯正

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