インプラント周囲上皮細胞のターンオーバーは3倍も遅い。

・上皮の増殖能が高いということは、ターンオーバー時間が早いということを意味しますので、組織の防御にとっては有利であるといえます。
増殖率をPCNA(増殖細胞核抗原)の陽性率は約13%で、天然歯の付着上皮の約36%よりも低く、おおよそ1/3です。
これは「インプラント周囲上皮細胞のターンオーバーが3倍も遅いこと」を示しています。
ターンオーバーが遅いことは、インプラント周囲上皮の防御機能が天然歯の付着上皮よりも劣っていると考えられます。
ですから臨床的には、インプラント患者さんのプラークコントロールはより厳密に行う必要があるといえます。
(参考文献)
・下野正基 : 新編治癒の病理.医歯薬出版, 2011.
・下野正基:やさしい治癒のしくみとはたらき. 歯周組織編. 医歯薬出版, 1994, 62-78.
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インプラント周囲組織の方が、天然歯周囲組織よりも炎症の程度が大きくなりやすいといわれていますが、ターンオーバーという観点らもインプラント周囲上皮の防御機能が天然歯の付着上皮よりも劣っているといえるようです。

2017年11月 5日

hori (08:50)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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