臼歯部の固定性上部構造における問題発生率

・臼歯部の固定性上部構造における問題発生率
近心カンチレバーを与えたブリッジタイプのインプラント補綴(26%)
ブリッジタイプのインプラント補綴(7%)
天然歯とインプラントを連結した場合(3%)
1歯欠損に対するインプラント補綴(4%)
1歯に1インプラント(2%)
(参考文献)
藤関雅嗣. インプラント除去に至った長期症例から学ぶ その2. 日本歯科医師会雑誌 2002 ; 55 : 529-536.
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このデータをみて意外だったのは、近心カンチレバーを与えたブリッジのタイプのインプラント補綴にトラブルが多いことです。
インプラント治療で近心カンチレバーを用いるのは、患者さんの予算が十分ではない場合(インプラントの埋入本数を1本分減らすことができるため。)や、前方の天然歯の近心傾斜の程度が大きく、欠損部最前方部位にインプラントを埋入した場合、天然歯の根尖と接触するリスクがある場合などです。
個人的には、補綴トラブルが多いとは感じてはいなかっただけに、興味深いデータです。
また、患者さんの予算の関係で、"1歯に1インプラント"という治療プランは選択しにくいケースが多いですが、中抜きをしたブリッジタイプの1/3以下のトラブル発生率ということを考えれば、臼歯部にはインプラント-インプラント間の距離が取れるのであれば、ブリッジタイプよりも"1歯に1インプラント"が良いということになるでしょう。
さらに、もう一つ意外だったのは、天然歯とインプラントを連結したケースでのトラブルが少なかったことです。
現在、天然歯とインプラントは連結しないのが一般的ですが、条件次第では、長期安定する方法もあるのかもしれません。
これについては、更なる検証が必要ということになるでしょう。

2015年2月25日

hori (09:28)

カテゴリ:上顎臼歯部のインプラント

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