上下正中が一致しない場合は、顎関節異常が起こりやすい。

・上下正中が一致しなければ、どちらかの犬歯が遠心型となってしまい、臼歯部が1歯対1歯咬合となり、同側の顎関節には異常が起こりやすい運動経路になってしまう。

(子どもたちを健全歯列に導くためのコツ )

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上顎正中と下顎正中が一致しない場合を考えてみましょう。

例えば上顎正中に対して、下顎正中が右側に偏位している場合、右側臼歯部は1歯対1歯咬合になる可能性が高まります。

右側臼歯部が1歯対1歯咬合になると、右側だけ咬耗が顕著な状態となる場合があります。

また、上下の犬歯の咬み合わせも1歯対1歯咬合であれば、右上小臼歯の近心と右下犬歯の遠心が近接する方向で、右顎関節を後方に引くような動きをするケースが多いように感じます。

程度によっては、顎関節症状が出現する場合もあることでしょう。

やはり、左右ともに1歯対2歯咬合の方が安心できると考えられます。

ただ、顎骨が生まれながらにして、左右非対称な患者さんも少なくありません。

このような方に、顎骨の幅の範囲で歯牙を移動しても、片側が1歯対1歯咬合、片側が臼歯部が1歯対2歯咬合となる場合も多いです。

でもだからといって、両側を1歯対2歯咬合にするために、4本の小臼歯を抜歯するいわゆる"抜歯矯正"は、医学的には良くないと考えています。

歯列のアーチを小さくすると、歯列矯正後に呼吸をはじめとして、体調が悪くなる場合が少なくないからです。

一方、顎骨が生まれながらに左右非対称な方にインプラント治療を行う場合、歯列矯正のように顎骨の幅の範囲での傾斜移動を行うわけではないので、インプラントの埋入方向を工夫することで咬み合わせを左右対称にすることは可能であると考えています。

そのような意味では、顎骨の対称性が著しく悪い方の場合は、インプラント治療は有効な方法であると言えます。

2016年10月15日

hori (15:17)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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